「蛍光ペン」で墨塗りしただけ?
実は、今回と似たような事例が他にもあった。千葉市教育委員会がウェブサイトに掲載していた会議録にも同様の問題があったことが06年7月に発覚、黒塗りされていたはずの「情報公開請求者の住所と氏名」「病気で休職する教諭の具体的な病名」といった情報が丸見えになっていた。当時この問題を報じた朝日新聞は、
「個人情報の部分を『蛍光ペン』という機能を使って墨塗りしたが、元の文書を消していなかった。確認不足で、技術的に未熟だった」
といった市教委のコメントを伝えている。
今回の東京地裁のケースも、ワープロソフトで作成した文書を「PDF」と呼ばれるファイル形式に変換した上でウェブサイトに公開していた。東京地裁の言う「塗りつぶし機能」が「蛍光ペン」に当たるのかどうかははっきりしないが、「蛍光ペン」の操作が初歩的な操作であることは間違いない。実際に「蛍光ペン」「PDF」「黒塗り」といったキーワードで検索すると、PDFファイルの「黒塗り」部分を復元する方法を紹介したブログがいくつもヒット、内容を見てみると、簡単な手順で「黒塗り」が解除できることが分かる。
ちなみに最高裁の判例紹介ページだが、各地で行われた裁判すべての判決文が収録されるわけではない。東京地裁では収録の基準は公表していないとしながらも、
「労働事件や知的財産事件など、関心が高そうな事例や、著名な事例が収録されることが多いです」
と話している。