ニュースサイトやジャーナリストのブログを舞台に繰り広げられてきた「オーマイニュース」鳥越俊太郎編集長を巡る「辞任騒動」が、新たな局面を迎えた。「騒動」をスクープした記者が鳥越氏に「恫喝」されたことを写真週刊誌に暴露したほか、鳥越氏が辞任の意志を語る音声も公開された。それでも、「誤報」「事実無根」と強弁する鳥越氏とオーマイニュースは何を考えているのか。
ニュースサイト「JANJAN」が2007年1月11日に初めて「辞任説」を報じ、オーマイニュースはこれを「事実無根」と完全否定。これを受けてJANJAN側は取材の際のやりとり(一問一答)を公開して反論したが、鳥越氏が動画メッセージで「これ(辞任報道)はウソです」と語るなど真相は藪の中だった。
音声を聞いてみると、「誤報」ではない
録音テープ公開後も沈黙を守ったままだ
そんな中、写真週刊誌「フラッシュ」2月27日号(首都圏では2月13日発売)に「告発!鳥越俊太郎『嘘と恫喝テープ』を独占公開」という記事が掲載された。執筆したのは、JANJANの記事を書いた増田美智子記者。オーマイニュースの反論を受けて鳥越氏に改めて取材した際に「訂正しないと僕はあなたを訴えるよ」と「恫喝」されたことなどを含め、今回の「騒動」の経緯を紹介した上で、鳥越編集長に取材した際の録音データが存在していることを明かしている。
その上で、2月7日に改めて増田記者が鳥越氏を直撃取材、録音データの存在を伝えたところ、以下の答えが返ってきたのだという。
「入院中で、トイレの中で電話を受け、手術直前だったため、上の空で『ハイハイ』と言っていただけ」
「こちらの状況を確認しないあなたが悪い。あなたの誘導尋問にうまく騙されたのだ」
2月13日、増田記者に「辞任説」の情報を提供したフリージャーナリストの寺澤有さんのブログに、この取材の様子を録音した音声ファイルと、内容の一言一句を文字に起こししたものが公開され、状況は変わりつつある。実際に音声を聞いてみると、鳥越氏と思われる男性の声が明瞭に録音されている。落ち着いた様子での受け答えで、「上の空」ではない印象だ。しかも、
「ただしボクは、ちゃんとした人を推薦をして、そのインタビュー、面会、あの、面接もちゃんと、ボクが立ち会ってしてますから」
と、後任の人選を進めていることを明言している。辞任は既定路線で、少なくともこの時点で「辞任は『事実無根』」ではないことは明白だ。
辞任は「誤報」といいはるオーマイニュース
騒動の当初、増田記者はJ-CASTニュースの取材に対して「録音データの有無についてはノーコメント」としていたが、それを一転、公開に踏み切った経緯をこう話す。
「(オーマイニュースからの反論に対する再反論記事を掲載した時に)あれだけ細かく一問一答を書いたのですから、さすがにオーマイニュースも、反論記事を訂正すると思っていました」
つまり、「これ以上シラを切るのであれば、仕方なく」ということで録音を公開した、ということのようだ。また、鳥越氏が増田記者を「恫喝」する様子も録音されているといい、
「録音時間が長いので、(文字起こしなどの)作業にも時間がかかる。出来るだけ早く公開したい」
としている。
一方のオーマイニュースだが、音声ファイルが公開されているという指摘をした上でも、
「2007年1月18日に発表した以下の見解に変更はございません。
『一部のインターネットメディアにおいて、13日に鳥越俊太郎が辞任するとの誤報がありましたが、すでにお知らせしたとおり、鳥越はオーマイニュースの編集長を引き続き務めて参ります。この誤報の内容を前提とする後続の記事などについては、オーマイニュースとしてコメントすべきことはございません』」
と回答、事実上の沈黙を続けている。
増田記者は、「フラッシュ」の記事を、こんな1文で結んでいる。鳥越氏は、これをどのように受け止めているのだろうか。
「自らの言葉に責任を持とうとしない鳥越氏は、即刻メディア界から引退するべきだ」