販売奨励金とSIMカードが問題解決のカギ
しかし、2日のヒアリングでドコモは「SIMロックは販売奨励金(のビジネス)モデルと相まって機能している」とし、解除すれば端末は定価販売になり、通話料値下げの余地は生まれるが、iモードは利用できず、端末の販売量が減少してメーカーや代理店のビジネスが縮小すると説明した。「ソフトバンクモバイルとドコモの端末はSIMカードで共有できるが、通信方式の異なるKDDI(au)とは共有ができず、競争市場にゆがみが生じる」とも訴えた。
多額の販売奨励金は、高価だった携帯電話をいち早く普及させるのに有効なビジネスモデルだった。しかし、携帯事業者に端末を納めれば一定の利益が確保できるため、海外市場に積極的に打って出るメーカーがいなくなり、世界市場はノキアやモトローラ、サムスンが制している。日本メーカーの携帯電話端末の世界シェアは10社合わせても10%未満というありさまで、国際競争力の低下は明らか。
モバイルビジネス研究会の発足にあたって菅義偉総務相は「販売奨励金とSIMカードの問題を基本に立ち返って検討してほしい」と委員に要望。研究会は9月をめどに改善策を最終報告に盛り込むが、ビジネスモデルの転換に時間がかかるだけに、携帯事業者やメーカー、販売代理店など各者の利害解きほぐしに向けて、関係者の知恵と努力が求められている。