不正経理を前経営陣の責任に押し付け?
こうした発表の背景には、一連の不正経理を有村・前社長ら前経営陣の責任に押し付け、桑島新体制で経営が変わったことを強調する狙いがある。システム出身で証券業界にこれといった人脈もなく、記者会見では満足に質問に答えられず、時に感情を露にする不器用な社長をトップに据えたのも、老獪な前経営陣からの転換を対外的にアピールする日興の戦略という、うがった見方さえある。
東証は日興が2月末までに、問題となった有価証券の訂正報告書を提出するのを待って、上場廃止とするかどうかを判断する。あらた監査法人が進めている再監査で、さらに新たな不正経理が見つかれば、上場廃止は免れそうにない。また、市場を含む世論の反応も有力な判断基準のひとつとなる。日興に対する不信感がこのまま続くようでは、東証としても上場維持の判断は難しくなるだろう。