日興コーディアルグループの不適切な会計処理が次々と見つかり、東証が日興を上場廃止にすべきか否か悩み続けている。日興は2007年2月1日、社外の特別調査委員会の指摘を受け、新たに06年3月期の連結決算でも不適切な会計処理があったと発表した。
桑島正治社長は前経営陣に損害賠償請求など法的責任を問う姿勢を明確にし、日興の「闇の世界」のウミを出す姿勢をアピールすることで、市場の信頼回復を目指しているようだ。しかし、不正経理が本当にこれで打ち止めなのか。さらなる新事実が発覚するようなら、マスコミの論調は一段と厳しさを増し、世論の行方によっては上場廃止の危機が一気に高まりかねない状況だ。
まだ隠されている不正の可能性も
日興の不正経理に東証も苦悩?
このところの日興の動きは目まぐるしかった。2005年3月期の有価証券報告書の虚偽記載問題で設置した、弁護士らによる特別調査委員会が1月30日に報告書を発表した。有村純一・前社長について
「積極的な関与の疑いを完全に払拭できず、重大な経営上の責任がある」
と指摘し、山本元・前財務担当常務と平野博文・前日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)会長が
「直接、主体的に関与していた」
と、組織ぐるみの法令違反があった事実を認めた。さらに、
「同じような不正経理が以前から存在していた」
可能性を指摘した。新たな不正がまだ隠されている恐れも否定できないという内容だ。
これを受けて、桑島社長は2月1日の記者会見で、05年3月期連結決算について、特定目的会社(SPC)を連結対象にしていなかったことにより新たに経常利益48億円の不適切な利益計上があったことを明らかにした。また、06年3月期連結決算でもSPCを用いた資金調達と、SPC関連の株式売却で合計191億円の不適切な利益計上があったと、06年12月の発表を再修正した。
桑島社長は
「05年3月期の期首にさかのぼり、すべてのSPCを連結の範囲に加えることにした。われわれ経営陣の判断だ」
と発言した。その理由を追及されて
「前経営陣の判断は適正ではなかった」
と認め、有村純一前社長ら前経営陣がSPCを連結対象にする必要がないと判断したのが、利益を多く見せかける不正経理の理由とした。