「格差」から逃げる 安倍政権に身内から批判

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   民主党が「格差是正国会」と位置づけている、開会中の通常国会だが、政府側は、わざわざ「新しい貧困層」という言葉を使うなど、「格差」という言葉の印象を薄めようと躍起だ。だが、身内である自民党からも「格差は事実」という声が上がったり、「格差を実証」したとする統計を持ち出す新聞も登場し、苦しい立場に立たされている。

   2007年1月25日に招集された通常国会に対して、野党各党は格差問題を重点的に取り上げたい考えで、特に民主党は「格差是正国会」と位置づけ、政府・与党を追及する構えを見せた。

「参院のドン」が格差の存在を訴える

政権に不利な材料は増えるばかり
政権に不利な材料は増えるばかり

   安倍首相が1月26日に行った施政方針演説では教育改革関連法案の提出を目指して「教育再生」に多くの時間を割いたが、「格差」という言葉は登場せず、「経済的に困難な状況にある勤労者の底上げを図る」という言葉が代わりに入った。その結果、30日に行われた審議では、野党からは、「格差」「ワーキングプア」といった言葉が出てこなかったことが相次いで指摘され、「格差」についての首相の認識をただす声が相次いだ。

   さらに、身内であるはずの「参院のドン」こと自民党の青木幹雄参院議員会長からも、同様の指摘が飛び出した。青木氏は、地元の島根県の離島で半年間産婦人科医がいなくなり、60人もの妊婦が本土に渡っての出産を余儀なくされたことを紹介、

「貧しいがゆえに大きな負担を強いられて、ますます貧しくなる」

などと述べ、塩崎官房長官が「『格差』ではなく、『新しい貧困層』という言葉を使うべき」と述べていることに半ば反発する形で、格差が厳然と存在していることを訴えた。

   それに対して、安倍首相は改めて「日本経済全体の底上げを図る」と強調、経済成長が格差をなくす、という考え方を示した。

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