出版の話も出ている
「ラブホテル」というテーマ設定は、卒論担当教員だった神戸学院大学水本教授との「話のついで」のようなところから決まったという。「トイレ」を専門に研究する教授は、「学問とはキワモノである」と常々話していたといい、教授自身が「ラブホテル」というテーマ設定をかなりプッシュしていたそうだ。
金さんは学部生だった当時(2002年)を振り返る。
きっかけは、ふと電車の中で見かけた中吊りの「とっておきラブホ」という情報誌の特集タイトルや、後輩から言われた「ラブホデートは普通にあること」という言葉。「ラブホテル」を卑猥で嫌なものと決め付けていたが、世代間でとらえ方の違いや地域差があるのを面白いと思った。
「卒論のテーマが決まった頃は、正直『いややなぁ』と思ってました。あの人ラブホに行きまくってるらしいよ、なんて学部内で後ろ指さされるし、親にも卒論のテーマは最後まで内緒でした」
教授の後押しもあって「愛の空間」の著書がある国際日本文化研究センター井上章一教授の元を訪れたり、国会図書館に何日も通ったりして膨大な資料を集めているうちに、「ラブホテル」研究にのめりこんでいったという。
しかし、若い女性だけにこんな悩みもある。
「(このテーマを続けていたら)嫁にいかれんかもしれん」
博士論文で取り上げた「ラブホテル」論が、本として出版される予定もあるそうだ。