カラオケ店「出入り口は1カ所」 理由は「食い逃げ」防止の真偽

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   兵庫県宝塚市のカラオケ店「ビート」の火事で客の3人が死亡、5人が重軽傷を負った事故が起きたが、少年3人が犠牲になった2階には非常口も非常階段もなく、窓も板で塞いでいた。その理由として、経営者でもある上江洲安一店長(53歳)は宝塚署に対し「客に逃げられると困るので」と話している、という。つまり、「歌い逃げ」(食い逃げ?)を防止していたというのだ。

出入り口が1階の1ヶ所だけ、非常階段、非常口、誘導灯もない

カラオケ店での防火対策は重要だ
カラオケ店での防火対策は重要だ

   共同通信は2007年1月25日、

「上江洲安一店長(53)が宝塚署に対し『客がお金を払わないで逃げると困るので、出入り口は1カ所だけしか作らなかった』と話していることが25日、分かった」

   と報じている。このカラオケ店は出入り口が1階の1ヶ所しかなく、設置が義務付けられている非常階段、非常口、誘導灯もない。窓も「防音」を理由にベニヤ板などで塞いでいたという「客を逃がさない」徹底ぶり。
   そこまでするのは何か問題があるのか。宝塚署に聞いたところ、

「無銭飲食が(他の都市に比べ)多いなどという話は聞いたことがない」

   と憮然とした声を出した。念のために兵庫県警に問い合わせたところ、

「無銭飲食は詐欺の分類になるが、無銭飲食に絞った統計数字はありません。宝塚市が特に多いということはないでしょう」

   と答えた。

   07年1月20日午後6時30分ごろの出火当時、店内では店員の佐々木美津子容疑者(35歳)。業務上失火と業務上過失致死傷容疑で送検)が、たった1人で計17人の接客や調理などをしていたことがわかっている。注文が集中し、1階調理室でガスコンロにかけていた中華鍋から15分ほど目を離し、過熱した油が発火。店舗は火と煙が充満した。

「客に逃げられる」でなくて、経営者が単にケチなだけ?

   上江洲店長は不在が多かったようで、他に2人のスタッフがいるが、業務は佐々木容疑者1人に頼り切った態勢だったようなのだ。結局は、「客に逃げられる」という発想も、ケチで、人を信じない上江洲店長の性格に関係しているのかもしれない。

   「フライデー」は07年2月9日号で、カラオケ店と同じ場所で「釣具店」を経営していた上江洲店長を知る人物のコメントを載せている。釣り餌を買いに行った時、

「『ウチは予約制ですねん』と言ってすぐに売ってくれない。しかもキャンセルしたらキャンセル料を払えとふざけたことを言う。すぐ潰れたけど、あたり前です」

   その上江洲店長の自宅は、宝塚市内の高級住宅地にある、ひと際壮大な豪邸なのだという。そんな豪邸に住みながら、カラオケ店には、安全対策にすらカネを掛けていない。同誌は、

「利に走り、一切の防災設備もないまま、店の経営を続けていた上江洲店長の責任は重大だ。若者の命を奪ったのは炎ではない。無責任な大人たちである」

   と結んでいる。

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