東証と組んでも意味がないと思った?
ところが、金融庁が期待した提携のイメージと、実際の東証・NYSEの提携合意は、かけ離れたもののようだ。今回の提携合意には、資本提携は含まれず、これまでマスコミで報道された業務提携に限られるからだ。即ち、TOPIX(東証株価指数)に連動した上場投資信託(ETF)をNYSEに上場してもらうなど、相手国の株価指数に連動したETFの相互上場や、株式の相互上場、次世代システム開発の相互協力などだ。最近、一部で報道されたテロや停電時の有事対策の協力も盛り込まれる見通しだが、いずれにしても提携効果が期待される内容には乏しいらしい。 もちろん、今回の合意だけで両者の提携協議が終わるわけではなく、今後の協議継続で資本提携を含む新たなテーマが浮上する可能性はある。しかし、国際的に証券取引所の再編が急ピッチで進む中、事前協議に1年間かけた割には、成果が乏しいのは否めない。金融庁関係者の間では
「提携内容はつまらない。NYSEは東証と組んでも意味がないと気付いてしまったのではないか」
との声も挙がっている。真偽のほどは明らかでないが、もしもNYSEにとって、東証と提携するメリットが少ないため、今回の提携協議が進まなかったとすれば、アジアを代表する資本市場を自認する東証にとって、ゆゆしき事態であることは間違いない。