オーマイニュースの「鳥越編集長辞任問題」について、フリージャーナリストが相次いで内幕をブログで暴露し、この騒動は新たな展開を迎えている。呉連鎬(オ・ヨンホ)代表が写真週刊誌デスクに鳥越俊太郎編集長の後任を依頼したことや、「辞任説」を書いた記者に対して、鳥越編集長が「恫喝」を行った、という話まで飛び出している。にもかかわらず、オーマイニュース側は不思議な「沈黙」を続けている。
2007年1月17日、記事を相次いで自身のブログに掲載したのは、フリージャーナリストの寺澤有さんと、同じくフリージャーナリストの野田敬生(ひろなり)さん。
写真週刊誌デスク「編集長就任依頼」認める
編集長の「後任探し」は本当?
寺澤さんは05年8月に開かれた「人権と報道」についてのシンポジウムで、オーマイニュースの呉連鎬代表と一緒にパネリストを務めるなど、元々、呉代表と面識があり、今回の「辞任説報道」も、寺澤さんがJANJANに寄せた情報が発端だ。そして、ブログの書き込みでは、「辞任説」の情報源は、呉代表自身であることを、こう明かしている。
「1月9日夜、『オーマイニュース』最高経営責任者の呉連鎬(オ・ヨンホ)氏(写真)から筆者の携帯へ電話があり、元木昌彦・元『週刊現代』編集長を『オーマイニュース』編集長へ迎えることについて、意見をきかれた。筆者は、1月13日に鳥越氏が『オーマイニュース』編集長を辞任することを確認したうえで、『それならば、元木さん以外に選択肢はない』と答えた」
そして、呉代表は写真週刊誌「FLASH」デスクの山崎喜宏さんも候補として考えているこを明かすが、寺澤さんは「絶対無理」と反対。それでも呉代表は山崎さんとの面談に成功するが、結局は編集長就任を断られたことを明らかにしている。
J-CASTニュースでは、記事に登場している山崎さんに話を聞いてみた。
「寺澤さんのブログの記事は確認しました。(ブログの)字数制限もあるので、だいぶ丸めて(要約して)書かれている、という印象ですが、内容は基本的に正しいです。ですが、会談の内容については、呉代表とのオフレコの約束があるので、お話しはできません」
記事の通り、山崎さんは呉代表と会談した上で、オーマイニュース編集長の就任要請を断ったことを認めた。当初JANJANが報じたように、「辞任を前提とした後任探し」の事実が裏付けられた形だ。なお、会談には韓国人の通訳が同席したという。
「音声記録が公開されます」
一方の野田さんのブログでは、JANJANの記事を受けて鳥越編集長の反論コメントが発表されたことに対して、記事を執筆した増田美智子記者がさらに鳥越氏に確認取材を試みたところ、こんなことがあったのだという。
「鳥越氏はなおも支離滅裂なウソを展開した上、『記事を書いたのはあなただから、あなた個人を訴える。すでに弁護士にも相談している。訂正するなら今のうちだ』などと病人とは思えぬ大声を張り上げながら、増田記者を恫喝したのだという」
突然提起された「恫喝」疑惑について、野田さんはJ-CASTニュースに対して
「どのように知り得たかはお答えできません。しかし、その内容には間違いありませ ん。でなければ発表しません」
と自信を見せる。さらに、
「鳥越氏が『記者』を恫喝している音声記録が存在することは紛れもない事実であり、かつ確実に公開されます」
と、今後の新たな展開を匂わせている。
「恫喝」が本当だとすれば、いささか異常な反応だ。
なお、今回話題になっている両ニュースサイトの反応だが、JANJAN編集部では、
「現段階で申し上げられることは、記事に書いてあることがすべてです。それ以外は特にコメントできません」
と、「恫喝説」を否定も肯定もしていない。
一方のオーマイニュースでは18日夕方に以下のコメントを発表、一連の報道を『誤報』とのスタンスを崩さないまま、「後任探し説」についても、事実上沈黙を守っている。
「一部のインターネットメディアにおいて、13日に鳥越俊太郎が辞任するとの誤報がありましたが、すでにお知らせしたとおり、鳥越はオーマイニュースの編集長を引き続き務めて参ります。この誤報の内容を前提とする後続の記事などについては、オーマイニュースとしてコメントすべきことはございません」