グーグル・アース テロリスト悪用の恐怖

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   世界中の衛星写真を見られるとして人気を呼んでいるバーチャル地球儀ソフト「グーグル・アース」だが、その鮮明な画像から「安全保障上の脅威になる」との声も挙がってきた。そして、ここに来て「イラクの武装グループがグーグル・アースの地図をプリントアウトして所持していた」という報道も飛び出し、心配が現実のものになってきた。

    グーグル・アースは、2005年6月に英語版の提供がスタート、06年9月には日本語版もサービスを開始した。日本語版では、衛星写真だけでなく、道路や建物の名前も表示されるようになっている。画面のきめ細かさは、日本国内の都市部では1ピクセル50センチ程度で、自動車を1台ずつ見分けられるほどの解像度の高さだ。

インド、タイ、韓国なども懸念

グーグル・アースで見た北朝鮮・平壌市の様子。街路樹の1本1本まで判別できる
グーグル・アースで見た北朝鮮・平壌市の様子。街路樹の1本1本まで判別できる

   その一方で、この高性能ぶりが別の懸念も呼んでいる。例えば、インドの軍港都市として知られるムンバイの衛星写真が詳細に表示されることから、同国のカラム大統領が05年10月に「テロリストが容易にネットで衛星画像を入手できるのは問題だ」などとして批判したほか、タイ、韓国なども、同様の懸念を表明している。

   その懸念が現実になったかと思わせるような記事が、07年1月14日、英国の新聞社系ニュースサイト「テレグラフ」に掲載された。英国軍が駐留しているイラク南部の都市・バスラ発の「英陸軍の情報筋」を情報源とした記事で、「テロリストがグーグルの地図を英国軍攻撃に利用」という見出しが付いている。
   英軍が武装勢力の拠点を急襲した際に、グーグル・アースからプリントアウトされた衛星写真が押収されたのだという。さらに、これらの衛星写真には、基地内のテント宿舎や洗面所など、攻撃を受けやすいエリアの情報が示されている、としている。記事では、情報部員の

「彼ら(武装勢力)が、攻撃を計画するためにグーグル・アースを利用しているのではないか、と懸念しています。テントなどの最も攻撃しやすいエリアを特定するために利用しているに違いありません」

という声を紹介した上で、英国軍基地は日々外部から砲撃を受けている、といった現地の緊迫した様子を伝えている。

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