市民参加型ニュースサイト「オーマイニュース」の「鳥越編集長辞任説」の波紋が広がっている。ニュースサイトJANJANが2007年1月11日に「鳥越編集長、辞任へ」と報じたことを受けて、オーマイニュースは翌12日に鳥越編集長のコメントを発表、辞任説を否定した。これを受けて、最初の記事を書いたJANJANの記者が1月14日、電話取材の細かい一問一答を公開する記事を掲載し、自分の記事が捏造呼ばわりされたことに対して、猛烈に反論している。
J-CASTニュースでも2度にわたって報じたとおり、1月11日のJANJANの記事を受けて翌12日に公表された鳥越編集長のコメントでは、「オーマイニュース編集長の職を退く意向を持っていませんし、解任されるという話も聞いていません」といった反論をしている。
鳥越氏との電話でのやりとりを詳しく公表
鳥越編集長、辞任説は本当?
それに対して、14日になって、JANJANには「鳥越俊太郎さん、しっかりしてください」というタイトルの反論記事が掲載され、鳥越氏のコメントについて
「まるで私が鳥越氏のコメントをねつ造したかのような言い方です。私の記事が正確であることを証明するために、私と鳥越氏との電話でのやりとりを公表しましょう」
と、「捏造呼ばわり」をされたことに憤った様子。その上で、JANJAN記者と鳥越氏との一問一答を詳細にわたって記述している。それによると、鳥越氏が体調不良を理由に辞任することを明かした上で、「媒体の立ち上げは終わったので、もう役割は終わったから」とも話している。また、12日の鳥越氏のコメントでは、以前から「後任を探しておいてください」という依頼をしていた、としているが、今回の一問一答ではさらに踏み込んで、「ちゃんとした人を推薦して、そのインタビュー、面接も僕が立ち会ってしてますから」と、「次期編集長」の面接も完了していることを明らかにしている。その一方で「次期編集長」の名前は、「(結果が)どう出るかわからないから。その本人のこともあるから」と、明らかにしなかったという。
この記事は、以下の1文で終わっている。
「『信頼』と『責任』ある情報発信」の基本はウソをつかないことです。メディアに携わる人たちは政治家や官僚のウソを見破ろうと努力しています。その当事者がウソをついては本も子もありません。鳥越さん、気を確かに、しっかりしてください」
鳥越コメントは「ウソだ」といっているのである。
後任が決まるまで報道されたくなかった?
J-CASTニュースでは、この反論記事を書いた増田美智子記者に再び話を聞いた。
「『記事は十分な取材に基づいたもの』という当初のスタンスは変わらない」とした上で、今回の反論記事に対してオーマイニュースからの反応は、特にまだないといい、「(オーマイニュースからの反応を)楽しみにしている」と、臨戦態勢だ。その一方で、電話の内容がきわめて詳細に紹介されていることについて「電話は録音してあったのか」「録音していた場合、鳥越氏の了解は取ってあるのか」という問いに対しては、いずれも「ノーコメント」としている。
一方で、JANJANに「辞任報道説」の情報提供をした、ジャーナリストの寺澤有さんは、今回の騒動を自身のブログで以下のように評している。
「『オーマイニュース』は円満な編集長交代を印象づけるため、後任が決まるまで報道されたくなかったのかもしれない。しかし、取材を受けた以上、きちんと対応するのが得策である。自分たちも報道機関を標榜しているのだから、わかりきったことである」
JANJANの反論記事を受けて、オーマイニュースの広報担当では、
「(『JANJANの記事は事実無根』という)見解に変わりはございません」
「(新たな抗議の申し入れなどの対応については) 検討中です」
とコメントしている。
ぺージビューが「低位安定」と言われているオーマイニュースだが、インターネット上のトラフィックを分析しているサイト「Alexa」でグラフ表示させてみると、オーマイニュースもJANJANも、ここ数日でアクセスが急増している様子だ。編集長の辞任騒動でアクセスが急増してしまうあたり、メディアとしては複雑な心境かも知れない。