日本高等学校野球連盟は2007年1月10日、フジテレビに抗議文を送付した。その内容は、フジ系列で6日に放送されたバラエティー番組「めちゃ×2イケてるッ!中居&ナイナイ日本一周健康の旅スペシャル」の「内容」を批判するように見えるが、そうなのか。実際のところ「なぜ選手たちの気持ちを踏みにじる」のかフツーの人には理解できない。
高野連は07年1月10日に抗議文をフジテレビのバラエティー制作センター宛に速達で送付。同番組について、
「放送された内容は、教育の一環として行われている高校野球の目的から著しく逸脱する番組構成で遺憾です。グラウンドでひたむきにプレイをする選手たちの気持ちを踏みにじる内容でもあり、ここに文書で抗議を申し入れます」
と抗議した。
直接的に侮辱するような表現、見当たらない
高野連は「選手たちの気持ちを踏みにじる」とフジテレビに抗議
フジテレビ広報部はこの抗議について、「まだ届いていていない。文書を見てから対応を考える」としている。
6日に放送された同番組では、06年夏の甲子園大会で優勝した早稲田実業(西東京)の野球部が宿泊した兵庫県西宮市の宿舎で、「ハンカチ王子」として話題を呼んだ斎藤佑樹投手がとった食事や部屋などを紹介。そのほかに、斉藤投手が利用した酸素カプセルにタレントの中居正広さんが入り、お笑いコンビ「ナインティナイ」の岡村隆史さんがそのなかにおならをするなどの演出をして、笑いのネタにした。岡村さんが色紙に「オナラ王子」などと書き宿舎の壁に飾る場面もあったが、斎藤選手や高校球児を直接的に侮辱するような表現はなさそうに見える。
ネット上の掲示板2ちゃんねるでも、高野連の抗議を疑問視するカキコミが急増している。
「あきらかに高野連の傲慢。高野連の大スポンサーの朝日新聞、毎日新聞系列にないフジ産経グループの報道に激怒してみせたってことだろ」「高野連うぜえ器が小さすぎ」「こうしてニュースにすれば余計世間に知られることにんるじゃんよ」「リアルで番組見ていたが、抗議する理由がわけわからんな」
実際に高野連にも抗議を批判する問い合わせがあったほか、マスコミからの取材も殺到した。
高野連の田名部和裕参事はJ-CASTニュースの取材に対し、
「宿舎の対応が問題。お客さんについてプライバシーに関することをもらさないのは宿泊施設としての大原則で、しかもこの宿舎は高野連の指定宿舎で、選手に手配しているのは高野連です。バラエティー番組に出るのが問題とか『おなら』が問題ということではなく、第3者にそうした情報を出すときに断りを入れないのが問題だ」
とあくまで宿舎側の態度を問題視していることを明かした。だとすると、なぜフジテレビに抗議する必要があったのだろうか。
普段は見ないバラエティー番組にビックリ仰天?
「放送するという、いわば原因を作ったのはフジテレビということになった。フジも事前に手を打つべきだったし、あれはお笑いのネタとして生徒の活動を取り上げるには『限度』を超えていた。私たちは子供たちを守る立場ですから(こうした処置に踏み切った)。法律的にどうこうという話を言っているのではない」
高野連は、07年1月10日に常任理事会を開いており、同連によれば、この場でフジテレビへの抗議文の送付とこの宿舎の高野連の「指定取り消し」を決めたという。高野連関係者は次のように明かす。
「抗議については受け止め方は人によって様々だろう。常任理事会のひとは普段からバラエティを見ない人たちだから、(同番組について)けしからんということになった。うちとしてはおもしろくないものだった」
高野連によると、フジ側は放送前日の1月5日に高野連に高校野球関連の映像の提供を要求しており、高野連は拒否したのだという。そこで、高野連の職員が普段は見ないバラエティー番組を見て、ビックリ仰天してしまった、ということのようだ。