日興コーディアル 買い占める銀行の名前

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   2005年3月期の有価証券報告書の虚偽記載(粉飾決算)で、金子昌資前会長と有村純一前社長が引責辞任した日興コーディアルグループが、証券業界再編の台風の目となる可能性が出てきた。金子前会長は98年に旧東京三菱銀行(現三菱UFJフィナンシャル・グループ)から離れ、米国の金融大手、シティ・グループとの資本提携を進めた。有村前社長とともに今日の日興グループを築いたが、社内では米国流の経営手法に不満も多く、今回の粉飾決算の内部告発につながったとみられている。証券業界では「金子・有村両氏の退任でシティとの間に距離が生まれ、みずほフィナンシャルグループや三菱UFJグループと接近するのではないか」などの声が挙がっている。

証券業界を飛び交う業界再編説

みずほグループがM&Aを仕掛ける?
みずほグループがM&Aを仕掛ける?

   日興グループの桑島正治・新社長は06年12月28日、東証内で行われた就任後、初の記者会見で業界再編の可能性を質問されると「まだ社長になって3日目なのに…」と声を詰まらせ、言外に可能性を否定して見せた。しかし、証券業界を飛び交う憶測に動揺は隠せない様子だった。

   かつての4大証券は最大手の野村証券以外は大手行との関係が明確になっていて、日興証券は東京三菱銀行が親密な相手先だった。三菱グループや関連企業の幹事証券会社を務めるなど協調関係を築いてきたが、98年のシティとの資本提携で両者の関係は疎遠になった。シティの持ち株比率は当初、25%だったが、その後は米国会計基準の変更など、主としてシティ側の都合で段階的に低下。現在は筆頭株主といっても4.94%にすぎない。代わって大株主として浮上してきているのが、2位のみずほグループで、4.89%を保有し、シティに迫っている。

みずほグループがM&Aを仕掛ける?


   証券業界に詳しいM&A(企業の合併・買収)のアドバイザーは「銀行系の証券会社が日興株を買い占める可能性がある。みずほグループは傘下にみずほ証券があり、背後から日興を追随しているが、ホールセールだけでリテールがない。みずほグループが日興を取りに来るという話は、あながち否定できない。三菱UFJグループよりも可能性は高いと思う」と話す。一方、日興内部では過去のノスタルジーからか「みずほグループではなく、三菱UFJグループと再び接近するのではないか」との期待が強いという。

   東京証券取引所は06年12月18日、日興グループを「監理ポスト」に割り当てた。日興は関東財務局への訂正報告書の提出予定日を当初の07年1月15日から2月28日に延期したことで、日興の監理ポスト入りは長期化が必至となった。

   日興グループの株価は監理ポスト入りした12月18日から下落し、20日には06年の取り引き時間中の年初来安値となる1,099円をつけた。株価が低迷すればするほど、買収されるリスクも高まることになり、日興の粉飾決算を引き金とする業界再編の動きを関係者は警戒している。

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