野村証券の説明会 記者から総すかん

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   グループ名から「証券」の名をはずした野村ホールディングスが2006年12月7日、「海外ビジネス戦略について」と題し、戸田博史執行役副社長兼最高執行責任者(COO)、海外ビジネス統括責任者による記者向けの説明会を開いたが、出席した多くの記者から総すかんを食った。野村証券にありがちな、兜クラブの記者でも理解しにくいカタカナの横文字を駆使した説明は、不勉強な記者ばかりではなく、説明会に同席した野村証券の社員でさえも、ほとんど理解できなかったという。記者はおろか、社員もわからない企業の戦略説明会とは、一体、誰に向けたものなのか。ともすれば唯我独尊で高飛車になりがちな野村ホールディングスの体質が浮き彫りになった。

専門用語を駆使して、まくしたてる

   会見方式の説明会は、同日午後4時から、日本橋の自社ビルで始まり、1時間以上も、戸田副社長の独演会が続いたという。説明会にはA4版カラー8枚のレジュメが配布された。これを一読して、すべてを理解できる人は少ないだろう。「欧米インベストメントバンクのヘッジファンド・ビジネスの進展」「プライム・ブローカレッジ・ビジネスの拡大」「シンセティック・プライム・ブローカレッジ」など、カタカナの横文字が並ぶ。証券会社の社員なら分かるのかもしれないが、兜クラブの経済記者といえども、この分野に詳しくなければ理解不能だ。

   説明会なので、これら難解なレジュメの解説が聞けると思ったら大間違いだ。野村のこの手の説明会にはつきものなのだが、野村の幹部には、これらをわかりやすく説明しようなどというサービス精神はまったくなく、社内の担当社員同士の会話であるかのように、専門用語を駆使して、まくしたてるのだ。野村には、自分たちの仕事を一般の新聞の読者やテレビの視聴者、すなわちフツーの市民に理解してもらおうなどという発想は、きっとないのだろう。

野村の中堅社員でも「わからん」

   極めつけは、当日、説明会に出席していた野村の中堅社員でも「副社長の説明を聞いてもわかりませんでした」と、本音を吐露したことだ。これは驚きだ。

   戸田副社長の独演会の後、出席した記者からいくつか質問が飛び出したが、「野村グループがインドに現地法人を設立するのか」など、一般の人が聞いてもわかりやすい分野の質問だけ。しかも、質問するのは某経済専門紙と外国系経済専門通信社など、常に野村の海外活動を専門的にウオッチしている常連のごく一部の記者だけ。彼らにとっては野村の幹部に質問できる花の舞台だけに、張り切るわけだ。

   しかし、野村の社員に言わせれば、「質問した記者も、内容をよく理解せずに質問していた」という。でも、そのわけの分からない質問に、戸田副社長は平然とした顔でカタカナを駆使して答えていたのだから、野村って本当にどんな会社なのだろう?

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