「言論・表現の自由という基本的人権を蹂躙している」
烏賀陽さんはウェブサイトで、今回の提訴を「言論の自由へのテロ」だと訴える
訴えられた烏賀陽さんは、J-CASTニュースに対し、記事や発言は全て綿密な取材を基にしウラも取っていると話し、
「今回の件は音楽業界だけの話にとどまらない。意見が異なる1人に対し高額な賠償金を翳して襲い掛かる恫喝訴訟であり、言論・表現の自由という基本的人権を蹂躙しているからです」
と憤る。突然に訴状が送られてきて、何が真実なのかお互いに検証する「議論」も交わせなかったというのだ。
マスコミ関連の訴訟に詳しい紀藤正樹弁護士はJ-CASTニュースの取材に対し、こうしたネタ元・記事を書いた「個人」に対する高額訴訟がここに来て増えているのだという。90年代までは報道を名誉棄損で訴える場合、100万円から200万円、高くて300万円くらいの賠償金で出版社と執筆者などをセットで訴えていた。しかし効果がなく、賠償金が1,000万円と高額になってもさほど変わらなかった。
「そこで02、03年ころから企業の新しい戦略として出てきたのがメディアにリークしたネタ元や、コメントをした人、記事を書いた人だけ訴える方法です。水道で言えば蛇口部分を締めることによって、情報の流出を止めようとするわけです」
出版社などと切り離された「個人」は弱い。ネタ元や執筆者はそれで萎縮し、企業に都合の悪い情報が出にくくなる心配もある。紀藤弁護士はこういう訴訟が増え続けると報道、そして、自由な言論の機会が脅かされる危険がある、としている。