NTT東日本と西日本のIP電話「ひかり電話」で通話障害が相次ぎ、インターネットの通信技術を活用したIP電話の信頼性が地に落ちている。NTTグループは光ファイバー網の普及促進を図っており、本格的なIP網の構築を目指して、2006年12月をめどにフィールドトライアルに乗り出す次世代ネットワーク「NGN」も控えていた。NTTは事態の沈静化に躍起だったはずだが、そんな矢先の12月5日午前、またもやNTT東の法人向け「ひかり電話」で通信障害が起きた。
IP技術が分かる人材いるのか
NTT東日本では12月にふたたび「ひかり電話」の障害が発生
「IP技術が分かる人材は、NTTコミュニケーションズに集めたはず。NTT東西にIPエンジニアがいると思えない」
ある通信会社幹部はこのように指摘する。NTTは急きょ、持ち株会社にグループ会社横断の対策チームをつくって技術者を結集し、NTT東西はそれぞれ30億円かけて、通話を制御する「呼処理サーバー」や、他の電話網とつなぐ「中継サーバー」などを増強して再発防止を図っている。
06年9月19~21日にかけて発生したNTT東のトラブル原因は、ソフトウエアのミスだった。一方、NTT西の10月23~25日にかけてのトラブルは、サーバーの容量不足が原因だ。急速な普及による顧客増大と通信量増加を読み切れず、システム容量が追いつかなかった。単なる需要の読み違えであり、IP技術そのものに問題があった深刻な事態とは言えないことが救いだ。
NTT東西のIP電話は、05年9月末で東西合計14万件から、06年9月末時点は約196万件と急増している。両社が販売に力を入れるのは、赤字の固定電話に代わって稼げるからだ。電話交換機を使う従来の電話と比べて、安い通信料金で電話サービスを提供できると加入者にアピールできる。
さらに、①電話②高速インターネット③ブロードバンド映像配信――と「光1本で3つのサービスが楽しめる光トリプルプレイ」とPR。付加サービスを加えると、電話だけの顧客より1人当たりの売上高を増やせるうまみがある。