子供の「心」に気を使うのが行き過ぎて起きること
「生命に対するリアリティー、生命に対する尊厳が無くなっているんです。動物としての本能が失われていると言ってもいい」と鈴木さんは話す。どうしてそうなってしまったのか。
こうした母親の世代は、豊かな環境で育ったうえ、「わがまま」が許されて育った。社会全体は「とにかく子供を大切にしよう」「子供に優しくしよう」と。子供の「心」に気を使う事が行き過ぎた。その影響が今の「身勝手」な母親に出てきている、と分析している。さらに、子供時代に「人の死」に触れる経験が無くなっているのが関係しているという。例えば祖父母が死を迎えるのはほとんど病院のベッドの上。死に立ち会う機会が失われ、生命に対する「尊厳」「命を失うことの怖さ」を体感できなくなったためだというのだ。
では、どうしたらいいのか。
「非常に難しいんです。20年ほど前にある学者が『虐待を受けた子供は親になり、また子供を虐待する』という研究を発表し、虐待をする親は倍々で増えることを憂いていました。私もこれからも虐待や子殺しは増えていくと思います。防止策としては、子供に対する教育を、根本から見直すしかないのです」