「好調組」も重い行政処分が課されれば、業績悪化
もっとも、不祥事2社の不振に衝撃を受けたのは、むしろ他の好調組。損保各社は10月末に医療保険などの「第3分野」で大量の不払いが発覚し、自動車保険などの特約を巡る不払いについても、金融庁から再々調査を求められている。不払い件数がさらに増える可能性が高く、重い行政処分が課されれば、業績悪化は避けられない。
不祥事2社の07年3月期の業績予想の正味収入保険料は、損保ジャパンが約330億円、三井住友海上も約500億円、当初予想を下回る見込み。「減少分のほとんどが行政処分の影響」(三井住友海上)。三井住友海上は、全契約者に対する「お詫び状」の発送や支払いシステムの改善など「業務品質向上」のための費用が計100億円を超えた。損保ジャパンも数十億円規模の対策費を支出するなど、不祥事の代償はあまりに大きい。中間決算好調組も、2社同様の厳しい処分を受ければ、支払い担当部門の増員やシステムの改修などの再発防止への多額の資金投入を迫られ、収入減とのダブルパンチを受ける。中間決算の束の間の「わが世の春」に浮かれている余裕はない。