インターネット上の百科事典「Wikipedia(ウィキペディア)」にある「西和彦」の項目をめぐり、大騒ぎになっている。きっかけは、元アスキー社長である西和彦さん本人が記事の大部分を削除したことだった。さらに、同氏は「誰でも編集できる」編集方針を厳しく批判し、「嘘で嘘を塗り固めているようなもの」という挑戦的な言葉も投げつけており、今後も波乱含みだ。
ウィキペディアは誰でも編集できるとともに、編集した人のIPアドレスが履歴に表示される仕組みになっている。「西和彦」の項目については、西さん本人がこの記事について大量削除したのが議論の始まりだった。
本人が自ら名乗り出るのは異例中の異例
Wikipediaでは西和彦さんと激しい議論が交わされた
「西和彦本人と自称するIP●●●●氏によって記事内容が大量削除され、挙げ句の果てには保護(編集ストップ)されてしまいました。IP●●●●氏は大量削除を行った理由を明確に説明してください」
2006年6月には、この項目にある「ノート」という場所で、このようなカキコミが行われた。その後、編集に関わった人が西さん本人にメールで問い合わせ、西さんが削除を認め、活発な議論が交わされ始めた。そして、06年11月18日、西さん本人が登場し、次のように書き込んだ。
「あなた方は何で本人がいやがる内容のことを、こんなにしつこく書き続けるのですか 引用した原典が正しいのかどうかちゃんと調べたらどうでしょうか この記事は独断と偏見の固まりです 私は本人ですが、本名を名乗らない人と、自分の経歴について話し合うのはいやです 本名とお立場と連絡先を呈示して、話をするなら、受けて立ちます。西和彦 11月18日」
IPアドレスが表示されるウィキペディアに本人が登場して、削除などの編集を行い、しかも本人が自らの名を名乗るのは異例中の異例。しかも、本人が大量削除を行ったとあって、次のような批判が西さんに向けられた。
「本名を名乗らないからといって、Wikipediaでの活動を制限されることはありませんので、そういう方はWikipediaで編集されるのは控えたほうがよろしいかと思います」「百科事典は、個人のプロモーションの場ではありません。(中略)都合が悪いからといって、恣意的に編集することも、都合がよいからといって、意図的に強調することも、中立的な観点からの記述とは言えません」