日本映画の興行収入が好調だ。2006年はシェアで洋画を上回る、という予測まで出ている。00年の興行収入は、洋画68%邦画31%、02年には洋画73%、邦画27%にまで落ち、邦画は劣勢に立たされていたが、ここにきて完全に息を吹き返した。
日本映画製作者連盟によると、05年の興行収入で10億円を突破していた洋画は39本だったが、それが06年はこれまでのところ15本に激減した。これに対して、邦画は昨年並みの26本だった。1月公開の「有頂天ホテル」(興行収入59億円)に始まり、「男たちの大和」(同50億円)「海猿」(同70億円)「日本沈没」(同52億円)、宮崎吾朗監督の「ゲド戦記」(同75億円)が50億円以上の興行成績を残し、邦画をリードした。
洋画を抜くのは、1985年以来21年ぶり
邦画の興行収入が好調だ
一方、洋画は「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」と「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」が100億円を超える大ヒットだったが、欧米でヒットした「ダビンチ・コード」や「ナルニア国物語」、「M:iⅢ」が、日本では前評判ほど伸びなかった。
映連では、「年末からお正月にかけて、『武士の一分』『大奥』『犬神家の一族』と続々期待の映画が上映されます。洋画がいま一つなので逆転は可能ではないですか」とみている。
日本経済新聞も11月24日、「今年1月から10月までに、収入全体に占める邦画の比率は47%に達していることから、通年では1985年以来21年ぶりに洋画を抜く可能性が出てきた」と報じた。
テレビ局とのタイアップが大きい
邦画興行の「復活」について、映連は「テレビ局とのタイアップや、映画の原作に人気コミックを使ったことが大きいのではないか」とみている。テレビ局が映画製作に加わったことで、テレビCMの機会が増えたり、番組で映画のメイキングを放映するなどで宣伝効果が高まった。さらには、「海猿」や「タイヨウのうた」「トリック劇場版2」「嫌われ松子の一生」などはテレビドラマとしても放映していて、テレビ局とのタイアップが功を奏している。
また、原作に人気コミックを用いた例が目立ち、「デスノート」や「ラブ★コン」「ハチミツとクローバー」「NANA2」などがある。「人気コミックの読者などの固定ファンがついていて、そういった人たちが観に来てくれている」(映連)と話している。
反対に、洋画はCGを駆使したド派手なアクションシーンや、「ハリー・ポッター」のようなシリーズものが増え、それが日本人には食傷ぎみであるようだ。