愛知県岡崎市で起きたホームレス殺人事件で、被害者の女性はホームレスになって間もない、「年金暮らし」だった。2006年11月24日放送のTBSの「みのもんたの朝ズバッ!」は、女性は月額7万円ほどの年金をキャッシュカードで引き出して受け取っていたと報じた。それを犯人に狙われたのかもしれない。
支給額について、社会保険庁に確認すると、女性が職に就いた経験がないまま40年間にわたり国民年金を納めていたとすると、たしかに月額約7万円になるという。国民年金の受給金額は物価スライドに準じていて、その年ごとで異なるが、06年度は最高年額79万2,100円、月額約6万6,000円(支給は2カ月に1回)になっている。「期間中に満額納めていた人で、受取金額は最高水準になります」(社会保険庁)。
月額7万円で暮らせるのか
社会保険庁から支給される年金は月7万円だった
きちんと納めない人も少なくないのに、被害者の女性は律義に、コツコツと納めていたことになる。
それにしても、きちんと納めて月額7万円とはいかにも少ない。社会保険庁は月額7万円で本当に生活できると思っているのだろうか――この疑問に、社会保険庁は「(生活は無理ではないかという)ご指摘はいただきます」とだけ話し、生活できるとも、できないとも返答はなかった。
一方、年金を受給するためには毎年、現況届を提出する必要がある。国民年金は65歳から死亡まで支給される仕組みなので、現況届はいわば死亡を確認するために提出しなければならない。被害者の女性は69歳なので、この4年間に年金を受給していたことになり、また少なくともこの1年以内に社会保険庁から現況届の書類を受け取り、それを提出していたことになる。