絶壁で身動きが取れなくなった犬を網を使って救助した騒動に、「犬にはセーフティネットがあるのに、人間の弱者にはない」と、評論家の勝谷誠彦さんが自分のウェブ日記で憤っている。動物を助けるのに消防隊が出動するのは珍しくない。過去には「米ソが協力したクジラ大救出劇」も存在する。動物救出のためには税金投入は惜しまない、というのは今も昔も、どこの国でも変わらないようだが。
この騒動の発端は2006年11月17日、徳島市加茂名町の眉山(びざん)ふもとの急斜面で、崩落防止用擁壁のコンクリート枠に犬が迷い込んで動けなくなったのを近くの住民が発見、消防局に連絡した。21日にレスキュー隊員が防護壁の上からロープを使って犬の近くまで降り捕獲を試みたが失敗、翌22日午前9時から救出活動を再開した。保護ネットを張った上で隊員がロープを使って犬の両側から近づいたところ、犬がネットの中に落ち、下で待機していた隊員が救出した。
「徳島県民の税金は犬を助けるために支払われているのか」
「コククジラ」救出に100万ドルを費やした
新聞各紙の報道によると、この救出劇で「自力での脱出は不可能」という理由でレスキュー隊員20人が出動したが、勝谷さんはこう批判する。
「レスキューは犬を助けるためにいるのか。あの時間に他の出動がなかったからと言う言い訳は成り立たない。出動のために拠点で待機しているというのも大事な仕事だからだ。徳島県民の税金は犬を助けるためにレスキューに支払われているのか」
そうは言っても、生き物を救出するために消防隊員が出動する、というケースは、調べてみると、結構ある。
例えば、06年6月には、高知市の民家の塀に挟まれて動けなくなったハクビシンの子どもを消防と警察が出動して救出している。03年1月には、北九州市で電線から垂れた釣り糸に引っかかったユリカモメを、住民からの通報を受けた消防局が隊員7人とはしご車を出動させて救助している。
だが、過去の新聞を調べていくと、勝谷さんが聞いたらビックリしてひっくり返りそうな「税金を使った大救出劇」があった。