競馬のフランス・凱旋門賞を失格になったディープインパクトをめぐる薬物疑惑が広がりを見せている。
日本中央競馬会(JRA)は2006年11月16日、フランスの競馬統括機関にあたるギャロの裁定結果と薬物が検出された経緯について記者会見を開き、池江泰郎調教師は「薬剤(イプラトロピウム)による吸入治療を行ったとき、ディープインパクトが暴れたため、薬剤が馬房内に飛散し干し草に付着してしまった。それを摂取したためにレース後まで(薬剤が)残留した」と釈明した。
競走馬の管理では、寝藁は時々交換するのが通常。それを薬物が飛散したにもかかわらず、その薬物が付着したまま放置するとは考えにくい。また、競走馬には食事用の飼料が別途与えられるので、ディープインパクトがわざわざ寝藁を食べたという説明も無理がある。GⅠ馬を手がけた経験のある池江調教師であるがゆえに、信じがたい話だという。
「いくらなんでも無理のある言い訳だろ」
公正なレースが望まれる
「結局、馬のせいにしたか」「いくらなんでも無理のある言い訳だろ」と、競馬マスコミ関係者やファンのあいだではかえって不信感が増幅し、「常習説」が広がっている。
仏ギャロが指摘した使用禁止薬剤のイプラトロピウムは、喘息や気管支炎などの治療に用いられる。イプラトロピウムに、ディープの能力をどの程度増強させる作用があるか定かでないが、JRAはこれまで禁止薬剤には指定していなかった。
しかし、週刊文春11月2日号は「ディープインパクト 疑惑の『調教』~JRAがひた隠す前科~」と題して、ディープを管理する池江師の周辺やJRAがかねてから薬物疑惑に甘い体質であることを報じている。
J-CASTニュースの取材に、あるターフライターはこう答えた。
「今回の遠征には池江泰郎調教師の子息である池江泰寿調教師も管理馬のピカレスクコート号とともに帯同しています。彼の薬物の知識はケイバ界でも相当なものと聞いています。ディープは気管が弱かったので、薬を常用していたとしても不思議はない。海外に出たことで引っかかってしまった、ということはありえますね」
池江泰寿調教師は約2年間、欧米で修行してきた経験を持ち、「(薬物の知識は)そのときに得た」(前出のターフライター)といわれている。週刊文春は記事中で、泰寿調教師に過去、薬物疑惑があったことも記している。