みずほ証券のような誤発注は、想定外
証券取引所と証券会社が結んでいる現行の契約は、誤発注であっても一度成立した株取引の約定は取り消せないことになっている。「現実に、みずほ証券のような誤発注が起きるとは、誰も想定すらしていなかった」(東証幹部)というのが本音だ。
このため、みずほ証券の場合、東証は天災などの緊急時に適用する規定を初めて適用。売った側と買った側が1株当たりの価格を決め、その差額を強制的に精算する「強制現金決済」を行った。
問題となった誤発注は05年12月8日に発生。この日、東証マザーズに新規上場した総合人材サービス業、ジェイコムの株式について、みずほ証券の社員が「61万円で1株」の売り注文を出そうとして、「1円で61万株」とコンピューターに入力ミスした。
誤りに気付いたみずほ証券は注文取り消しを行なったが、「東証のシステムが不備だったため、受け付けられず、数億円で済んだはずの損失額が約407億円に膨らんだ」という。みずほ証券は諸費用を含め約415億円の損害賠償金の支払いを求めて東京地裁に提訴し、現在、係争中だ。