規制強化は「自業自得」
だが、関連法改正の動きが当面の経営悪化に追い討ちをかけそうだ。改正法施行後は上限金利が20%以下になるため、利ざやは縮小する。特に1人当たりの貸し出し総額に上限を設ける総額規制はボディブローのようにひびき、収益は落ち込む見通しだ。武富士は、一般企業の売上高にあたる営業収益が改正法施行後には3割減ると予想している。三井住友銀と提携しているプロミスは、金利帯別で銀行と住み分けしてきた経営戦略の見直しに着手した。
これまでの消費者金融は、グレーゾーン金利の恩恵で儲け過ぎだった。特にバブル崩壊後は、運用先のなかった銀行や生損保から超低金利で融資を受け、高金利で大きな利ざやを稼いだ。銀行などから背中を押されて、過剰融資に走り、利益は極大化した側面が大きい。銀行が個人向け貸し出しに消極的で、リスクをとらなかったことも背景にある。その結果、多くの多重債務者を発生させ、今回の規制を招いたのは「自業自得」(金融庁幹部)と言われても仕方ない。
信用力で劣る消費者金融は、銀行には太刀打ちできないとの不安が根強い。株価が上場以来の安値をつけて、買収防衛策の導入を決めた武富士の近藤社長は決算会見で、「法改正の打撃は大きい。消費者金融業界は合従連衡が起き、一気に寡占化が進むだろう」と述べた。業界再編は間近に迫っている。