06年9月中間期連結決算で上場後初の赤字が続出した消費者金融大手は、ビジネスモデルの抜本的な見直しを迫られている。金融庁がこのほど公表した消費者金融の融資件数と残高は7割以上が年利20~29.2%の「グレーゾーン金利」が占めていることが判明した。これまでの高収益が違法と合法の狭間の高金利頼みだったことを露呈した。
今回の赤字決算への下方修正は、最高裁判決を受けたグレーゾーン金利の返還請求が急増し、関連する引当金などの大幅な積み増しを日本公認会計士協会から迫られた結果だ。国会で審議中の貸金業制度改革の関連法改正案でグレーゾーン金利の撤廃は決まっており、消費者金融の”わが世の春”は終わりを告げそうだ。
中期的には経営安定化
消費者金融はビジネスモデルの見直しを迫られる
通期の予想最終(当期)損益もプロミスが1541億円の赤字、武富士は1095億円の赤字と発表している。アコム、アイフルも通期赤字予想を近く発表する見通しだ。
大手4社の当初予想では、経常利益が1,000億円前後、最終利益も500億~600億円台のそれぞれ黒字だった。それが赤字転落したのは、将来の過払い返還請求に備えた引当金の複数年分を一括計上したことが大きい。これまで各社は前年の実績に基づく返還額を1年分だけ引き当ててきたのだが、今回は債権の平均回収期間である4~6年の引当金を計上したのだ。このため引当総額は当初予想の10倍前後にまで膨らんだ。返還に伴う債権放棄の貸倒関連費用が急増したことも響いた。
ただ、赤字とはいえ、4社の自己資本は6,800億~9,700億円あり、直ちに経営不安につながる恐れはない。また、返還請求が予想より少なければ、引当額との差額は来期以降に利益となるのだから、今回の一括引当で中期的な経営はむしろ安定するとも言える。