現時点で、提携の実態は「情報交換」の域を出ていない
事実、東証の西室泰三社長は機会あるたびにNYSEのジョン・セイン最高経営責任者(CEO)と会談している。今回の報道のきっかけは、10月にブラジルのサンパウロであった世界取引所連合(WFE)の年次総会で、西室社長がセイン氏はじめ各国取引所の首脳といっしょになり、「そこでいろんなCEOの方々とお話するチャンスがあった」(西室社長)と語ったのが発端だ。西室社長は総会終了後にニューヨークに立ち寄り、セイン氏と再度、会談し、その席で株式持ち合いの話を持ちかけられたという。
一連の報道では、ロンドン証取、ユーロネクスト、ドイツ証取とも「業務提携を協議」と伝えられたが、いずれも西室社長が7月に欧州を訪れ、「3証取のCEOと直接対話した」という事実に基づいている。現時点で実態は「情報交換」の域を出ていないようだが、再編推進派の西室社長が「さらに一歩進んだ提携関係もありうる。相手方も非常に興味をもって聞いてくれた」などと語ったことから、過去の経緯を熟知しないマスコミが「提携協議が始まった」と飛びついたのが真相のようだ。