個人情報の流出問題など、負の側面も見え始めているSNS。世界最大のSNS「マイスペース」が、いよいよ日本でもサービスを開始したが、マイスペースを舞台にした「出会い」が大トラブルに発展するケースも少なくない。ネットで起こる危険に対して注意が必要だ。
2006年11月7日、ソフトバンクは米ニューズコーポレーションの系列会社と合弁企業を設立し、「マイスペース」日本語版の試験サービスを開始した、と発表した。マイスペースは04年1月に米国でスタート。従来のSNSと比べて、自分のページのレイアウトを自由に変更できるのに加え、音楽コンテンツが充実しているのが売りだ。
「デート」「パートナー探し」も売り物のひとつ
「出会い」がトラブルに発生したケースも
ユーザー数は1億2,500万人に達する。日本最大のSNS、ミクシィの会員数が570万だから、桁違いの多さだ。サービスも多彩だが、「ユーザー交流」、つまり「デート」「パートナー探し」といった「出会い」も売り物のひとつだ。ただ、それが大きな騒動、事件の舞台にもなっている。
06年6月には、米国ミシガン州に住む16歳の女の子が、マイスペースで知り合ったパレスチナ人の20歳男性に会いに行こうと、家族に「カナダに旅行に行く」と嘘をついて一人で飛行機に乗り、イスラエルのヨルダン川西岸地区にある都市エリコに向かった。その後、FBIの捜査員がヨルダンのアンマン空港で女の子を保護、事なきを得た。
このケースは単なる「騒動」として済ませることもできるが、実際に被害が起きている例もある。
06年6月29日に英ガーディアン紙が報じたところによると、マイスペースを舞台にした強盗事件が起こった。それによると、米国フロリダ州の13歳と14歳の少女がマイスペースで「18歳女性」を名乗り、「刺激的な」写真を自分のページに掲載した。この「架空の女性」に誘惑された男性が、いざ女性に実際に会おうとすると、目の前に現れたのは知らない女性。さらに、男性は頭に銃を突きつけられ「ポケットの中のものを全部出せ」と脅迫されたという。
年齢制限の強化が必要か
さらに、06年初頭には、米国テキサス州の14歳の女の子が、マイスペースで知り合った19歳の男に性的暴行を受けたとして、マイスペースに対して3,000万ドル(約35億円)を求めて訴訟を起こしている。
マイスペースのページを開くと、利用規約の他に「安全上の注意」という項目を作って、ネットで起こる危険に対して注意を促している。だが、ミクシィは18歳未満の利用を禁じているのに対してマイスペースは14歳以上であれば利用できる。SNS利用者の低年齢化に拍車がかかり、低年齢層が危険にさらされる可能性も高まりそうだ。
記者会見に臨んだソフトバンクの孫正義社長は
「ネットサービスは、年齢などで制限をかけている場の方が少ない。まずは制限をかけることが第一歩だ」
と話すが、子供たちを犯罪から守る有効な手だては、まだ見えてこない。