差別図書とされる全国の被差別部落の所在地などを記載した「部落地名総鑑」がネット上の掲示板2ちゃんねるに流出したことについて、同掲示板では、「トラップ(罠)に引っかかったガセ情報である」とのカキコミが続出している。しかし、今回は2ちゃんねらー(2ちゃんねるユーザー)の「早とちり」の可能性が高い。
2006年10月27日から28日にかけてJ-CASTニュース、毎日新聞、産経新聞が部落地名総鑑の2ちゃんねる流出について報じた。しかし、2ちゃんねるではこれを「ガセ情報」とするカキコミが続出した。それは次のような具合だ。
「誤報じゃねーかよ。 いいのか?」というカキコミ
2ちゃんねるには今でも「フシアナ」トラップと三重人権センターのホスト名が晒される
「これって、名前欄にふしあなさんで部落総監ゲット!ていう釣りを真に受けただけなんだろ?」「これだけ馬鹿な記事も珍しいな」「J-cast 誤報じゃねーかよ。 いいのか?こんな報道してて」「フシアナとラップに引っ掛かっただけ」
「フシアナ」とは掲示板に貼り付けてあるリンクをクリックし、指定された特定の文字などを打ち込むと、それがトラップ(罠)であるというもの。これに引っかかって、自分がアクセスしているネットワークのホスト名を間違って晒してしまうこともある。
部落地名総監の流出は以下のような経緯だった。
2ちゃんねるに、部落地名総鑑に関するカキコミと一覧を入手できるリンクが貼られていたことを三重県内の公務員が発見、三重県人権センターに通報した。三重県人権センターによれば、リンク先にパスワードを入力すると、他のサイトに飛び、そこに部落地名総監のファイルがあったのだという。
この話とは別に、流出問題を調査していた三重人権センターの人間が、「フシアナ」にアクセスしたため、ホスト名が判明した模様で、28日までに三重人権センターのホスト名が2ちゃんねるに晒された。フシアナトラップに引っ掛かったことと「流出」が関係がある、と見たようだ。
「地名総鑑」は確かにあったし、実際に見た
三重人権センターで実際に通報を受けたという職員は、
「地名がいくつも拾われた『地名総鑑』とされるものは確かにあったし、実際に見た」
と答え、またフシアナトラップについては、
「もちろん知ってます。調査の段階でテスト的に入っただけです。それが『地名総鑑』でないことは分かっている。行政マンたるものが、あるかわからないもので判断するわけがないです」
としている。つまり、「部落地名総鑑」の流出問題は、実際にその存在を確認できたからこそ生じたもののようだ。