2006年10月14日にテレビ朝日系で放映されたテレビ番組について、外務省が猛烈に怒っている。外交官が超贅沢な暮らしをしているという番組内容に抗議、さらに、麻生太郎外相までも06年10月24日の参院外交防衛委員会で「捏造ですかといいたくなる内容だ」とまで発言した。
外務省は06年10月16日、14日に放映された「ドスペ(小倉智昭の国民は怒っているぞ!3 年金が消えていた!真相スペシャル)」での外交官についての描写が、事実誤認に基づき国民に誤解を与えるとして、テレビ朝日にたいして抗議を行ったと発表した。
「夢の超ゼイタク」は本当だったのか
外務省HPでは「命がけの任務」を絵入りで紹介
番組では「夢の超ゼイタク」「中堅外交官の華麗なる厚遇ライフ」などの表現を用いて、「外交官のあまりにも贅沢な生活ぶり」をルポ風に伝えており、これが外務省には「捏造」と映ったようだ。抗議文は外務省ホームページにも掲載されている。
テレ朝の「高額の在勤手当のおかげで、『3年間の勤務で4500万円もの貯金』が貯まる」という内容について、外務省は「明らかに事実と反するもの」と反論。
「在勤手当は、海外勤務で追加的にかかる必要経費に充当するために、法律(名称位置給与法)に基づいて、予算の範囲内で、適正な額が支給されるものです。3年間の勤務で4500万円の貯蓄が貯まることはあり得ません」
と「適正な額」であることを主張している。さらに「在勤基本手当は、平成11年以降、平均で3割、大使レベルで4割の削減を受けており、外交活動に支障が出ているのが現状です」とし、むしろ「手当てが少な過ぎるぐらいだ」といわんばかりだ。
テレ朝が「某国書記官の一日」と称するドラマのなかで、現地職員任せの情報収集、現地ツアコンもどきの便宜供与、日本人中心の人的交流しか行っていないような紹介をしたことについては、「明らかに事実に反する」と反論している。
テレ朝広報部は「事実関係については調査中」
「外交官は、それぞれの任地において、役割に応じ、外交交渉、情報収集、邦人保護、経済協力、日本企業支援などの業務に懸命に取り組んでおり、外交官の6割は、開発途上国の厳しい勤務環境の中で奮闘しています」
とし、「厳しい環境で奮闘する在外職員」と題されたPDFを貼り付け、外交官の死亡例まで挙げて、劣悪な治安環境のなかで命がけの仕事なのだとアピールしている。
そして最後には、
「外務省在外公館の対応については、総務省のアンケート調査では、領事窓口職員の対応が丁寧であったとの回答が9割弱を占めています」
と結んでいる。
テレ朝広報部はJ-CASTニュースの取材に対し、抗議が実際にあったことを認めるものの
「事実関係については調査中」
と回答するにとどまっている。
ネット上の反応も、この問題については冷ややかで、
「まあどっちもどっちだな」
「で、どこまでが捏造でどこまでが本当なんだ?外務省さん。否定している部分以外は本当ってことだよな?」
「正直、外務省の必死さしかうかがえないのですが」
「捏造朝日 vs 隠蔽外務省」
といった具合で、外務省の必死の抗議も「どっちもどっち」程度にしか受け入れられていないようだ。