「入居後1年間は解約不可」といった条項がつく
それは、
「お客様にこの制度を説明すると『お得だね』と強い関心を示してもらえますし、入居者がすぐに決まったりします。それだけにオーナー様の注目度が高くなっているのでしょう。ただし、物件にもよりますが…」
不動産経済研究所の福田秋生企画調査部長は、フリーレントが出てきた背景を、オーナー側の思惑からこう説明する。
「賃貸住宅の供給過剰感が現在でも続いていて、オフィスビルのシステムを賃貸住宅でも使えるのでは、と導入されてきました。実は、オーナー側としては、入居者を確保するだけが目的ではないんです。賃料を下げない(現状維持する) 目的もあります。そして将来の売却にも備えることができるのです」
仮に新規入居者の賃貸料が現在の入居者より安ければ、クレームが来て、全体の賃料を下げなければならない。それでは困るので、新規入居者には何ヶ月かをフリーレントにし、形の上で賃料の現状維持を図る、というわけだ。また、将来、賃貸住宅を売る場合、設定している賃貸料が高いほど高く売れる。大家はそういうことも考えて、フリーレントを入れていると福田部長は指摘する。
ただ、フリーレントの契約には「入居後1年間は解約できない」という条項がついていることもある。フリーレントが増えていく中で、消費者には賢い判断が求められるということだ。