2006年10月24日からスタートした携帯電話の番号ポーダビリティ制度。制度開始の前日に「予想外割」と銘打った低料金プランを発表するという奇襲に出たソフトバンクモバイルは、広告でも「号外」発行という「予想外」の奇策を仕掛けた。
番号ポータビリティ制度がスタートし、携帯電話戦争の幕が切って落とされた24日の朝、東京、大阪、名古屋、福岡など全国の大都市のターミナル駅周辺では、「携帯業界に激震」との大見出しが躍る“号外新聞”が配られた。
「速報新聞」とはいったいなんだ
従来型広告のドコモとauにソフトバンクは“新聞号外”で対抗
通勤・通学中の人々が受け取ってみると、「速報新聞」という聞いたことのない名前の新聞。よく見れば、発行所の欄には「ソフトバンクモバイル株式会社」と印刷されている。この“号外新聞”、実はソフトバンクモバイルが知恵を絞って作った広告チラシだったのだ。
新聞の中身もよくできていて、「通話・メール無料へ」という縦見出しの横には、ソフトバンクモバイルの孫正義社長の写真とともに、「ソフトバンクモバイルが予想外な新料金プランを発表した」という内容の“記事”が掲載されていた。
本物の新聞とそっくりの出来栄えに、思わず受け取ってしまった人も多かったようだ。東京の有楽町駅前で、この“号外新聞”を受け取ったという会社役員の男性は「どこかの新聞社の号外だと勘違いして、思わず受け取ってしまったよ」と苦笑いしていた。
ソフトバンクモバイル広報部によれば、東京、大阪、名古屋、福岡など全国の大都市のターミナル駅周辺で配られた「号外広告」の数は、約25万枚。前日に発表された料金プランと同じく、「予想外」のインパクトを狙ったという。
auは仲間由紀恵と速水もこみちで勝負
ソフトバンクの奇策に対して、ドコモとauは従来型の新聞広告を展開する方法を選んだ。番号ポータビリティ初日にあわせ、朝日、読売、毎日などの全国紙に全面広告を掲載するというオーソドックスな広告戦略だった。
ドコモの新聞広告は有名人の記者会見風景だ。大相撲の朝青龍関や競馬の武豊騎手、俳優の津川雅彦さんや宮崎あおいさんらがずらっと並んだ記者会見風景の写真の上に、「だから、私はドコモです」の文字。業界トップならではの安心感を広い世代に向けてアピールした。
一方、若者の評価が高いauは、仲間由紀恵さんと速水もこみちさんという若手人気俳優の大きな顔写真を掲載。「MNP本日スタート! 番号そのままauにおいで!」と乗り換えを呼びかけた。
これに対して、ソフトバンクモバイルは新聞広告はなし。有楽町駅前で“号外新聞”を配ったソフトバンクモバイルの社員が「どんどんもらってくれる感じで、反応はよかったと思う」と話したように、ソフトバンクの「予想外」の広告戦略は期待どおりのインパクトを与えることができたようだ。