「申し訳ない」発言も誤報
これだけではない。韓国メディアの「誤報」の可能性が高い報道に追随してしまった日本メディアの報道はほかにもある。それは、金総書記が中国側に核実験について「申し訳ない」と謝罪したという報道だ。
この報道のソースは06年10月20日の朝鮮日報と見られる。同紙は「金総書記が核実験について、中国側に申し訳ないとの意向を伝えた」と報じた。これには、新聞各紙がこぞって追随。産経新聞は朝鮮日報をソースとしながらも、「金総書記はまた、核実験について、中国には申し訳ないことをしたとの意味の話もしたという」と報じ、西日本新聞に至っては「金総書記は核実験について『中国側に申し訳ないことをした』と述べた」と発言が「事実」とも受け取られそうな報道をした。
06年10月23日までに、中国側が核実験実施を厳しく非難したものの、金総書記から反論も謝罪もなかったことが、唐家セン国務員に同行した中国外務次官と会談した自民党・逢沢一郎衆院議院運営委員長の証言で明らかになっており、「謝罪」についても「誤報」である可能性が現在では高まっている。さらに、23日付けの夕刊フジは、「すいませんね」程度のあいさつを「拡大解釈した」と報じている。
朝鮮日報日本支局の特派員は、J-CASTニュースの取材に対して、
「金正日の謝罪については朝鮮日報だけではなく、韓国のメディアの大半が報じている。誤報かどうかは記者本人に聞いてみなければ分からないです。韓国でもいろいろな意見があるのは事実ですが」
と答えた。
(編注:文中「唐家セン」の「セン」はは王ヘンに旋)