「過去記事を読んでから質問しろ!」「○○ではなく△△ですね~」(誤字や言い回しの間違いの指摘)「問題発言は追及するべきでしょ!?」「すべてアクセス解析でわかっていますよ、こっちは」。ブログへのコメントや掲示板などで、コミュニティーの雰囲気が壊れて嫌ァ~な思いをする。こんなカキコミをする人を「モヒカン族」と言うらしい。いったいどんな性質の「種族」なのか。
「モヒカン族」と命名したのはシステム管理者のotsuneさんだ。2005年7月頃から「はてなグループ」で話題として取り上げ、「現代用語の基礎知識」の2006年版にもネット流行語として登録された。J-CASTニュースの取材に、otsuneさんは命名の経緯をこう答える。
正しいけれど、シラケる発言をする
ウィキペディアにも「モヒカン族」という言葉は登録されている
「ネットは現実とは違い、淡々とした理系眼鏡君タイプがツッコミをしてくる。『北斗の拳』のサザンクロスシティのように危険で殺伐とした場所のようだ、というネタを書いたのが始まり。北斗の拳の悪役雑魚がモヒカン刈りプロテクターだったので『モヒカン族』というネーミングをしました」
漫画『北斗の拳』の悪役雑魚は平和な村に出没し、村民を斧で殺戮する。一方、ネット上の「モヒカン族」のイメージは、「誤字脱字の指摘は人格否定とは思わない」「ネット上の場の空気が読めない」「殺伐とした議論を求む」「理系の淡々としたノリ」「詭弁と例え話と断言を使いこなす」などだ。
「正しいけれど、シラケる発言」をするので、イラつく。また、古くからネットに接しプログラムやシステムに強い人が多いようで、単なる「荒らし」ではなく、「ぶっきらぼうなのでぎょっとするが、実は単なる天然で悪意が無く、淡々と指摘をしている学者肌の人」が真の正体だとotsuneさんは見る。
otsuneさんがこの話題をネットで取り上げたのは、こうした空気の読めない種族を啓蒙したいと考えたからだ。
「ウィットで返すかスルーしましょう」
例えばQ&Aサイトにこんな質問が出た。「ドメインて何?」。45歳の男性で、ヤフードメインを取得したが、言葉の意味がわからないから、日本語で教えてほしいというのだ。回答は5つ寄せられ、それぞれが親切にドメインの意味を説明していたが、その中の一つは、
「この質問サイトに質問を書く程度の知識はおありのようですから、あなたはもう『無理にでも勉強しなきゃ始まらない』レベルの初心者ではありません。もし、今現に具体的に、『どうすればいいのか分からずに困っている』とか、『こんなことやってみたいんだけど』とかあったら、補足してみてください」
という回答。結局、ドメインには何も触れていない。質問者は回答者に「40の手習いではじめたパソコンですがなかなか思うように習得できず苦労しています、カタカナ言葉が多く理解するのもひと苦労です」と困惑した感じの文章を「回答へのお礼」の欄に書いている。
文化人のブログなどにも「モヒカン族」は出没している。「モヒカン族」のコメントに腹を立て反論したところ、ブログが炎上。閉鎖に追い込まれる例も出ている。
それでは「モヒカン族」に出会ったらどうすればいいのか。otsuneさんはこんな自衛策を提案している。
「ハッタリを突き通す人よりも、客観的にミスを認められる人のほうが信頼されやすい。自分に悪意を向けられた時に、本能的に反応して怒ったり悪意を向けたりしたらかえって危険。だからウィットで返すかスルーしましょう」
コテンパンにされたときの対処法は、「『オレって自分の間違いを認める広い心を持っているよ』というキャラをアピールすること。そして『自分は若輩者ですから、どんどん至らないところを指摘してください。勉強させてもらいます』という謙虚さ、が必要」で、「本当は色々と考えて発言しているのに、わざとへりくだった態度を見せているんだな」と勝手に買いかぶられるようにもって行けば成功、だそうだ。