日々の連絡手段として欠かせない電子メール。アドレスを間違うと、エラーメールが戻って来て、送ったメールが届かなかったことが分かる。それはよくあるが、メールを送った人が知らない内にメールが無くなっている、そんなケースが全体の1%にのぼることが、米研究機関の調査で明らかになった。大事な用件が伝わらなかったら大変だ。
約37万通のメールの送受信で「実験」
送ったメールの1%は届かない?
調査は米マイクロソフト社の研究機関「マイクロソフトリサーチ」が2006年10月に発表したもので、実際にメールを送受信して、メールがただ消えてなくなる(silent email loss)割合を測定した。
実験では、米国、英国、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアの5か国、46個のメールアカウントを使用して、約37万通のメールを送受信した。メールの内容は、エンロン裁判で公開された同社社員によるメールの文面を集めた「エンロンコーパス」と呼ばれるものから、1,266通を使用した。
その結果、消えてなくなったメールの割合は1.79%~3.36%だった。ただし、これには、メールの内容に応じて、迷惑メールをブロックする「スパムコンテンツフィルター」による消失を含んでいる。この影響を除くと、メールが消える割合は0.71%~1.02%と推計されている。日本でも同じことが起きている可能性は強い。
迷惑メール防止対策が裏目に
報告書によると、メールを送信・転送するための「SMTP」と呼ばれるサーバーをメールが通過する際に、ブロックされてしまう、ということのようだ。このサーバーには迷惑メールの通過を防ぐために、「ホワイトリスト(通過を許可するリスト)」「ブラックリスト(通過を許可しないリスト)」が利用されているが、この対策が裏目に出ていると見られている。
報告書では、「もたらされる損失は大きいため、この問題を無視できない」とし、新しいメールシステムを提案している。当分の間は、商談や就職活動などの大事なメールでは、「怪しいと思ったら電話で確認してみる」といった自衛策が必要そうだ。