2006年8月に福岡県で起きた飲酒運転での事故を受け、全国の自治体などでは「飲酒運転即免職」の動きが加速している。飲酒運転への社会的な批判が強まるなか、公務員の多くは軽微の酒気帯び運転でも懲戒免職は避けられない状態だ。そうした中、自転車の飲酒運転にも処分の基準を定めるところも出てきていて、自転車でも免職、なんてことも十分に起こりそうだ。
愛媛県教育委員会は06年10月10日、自転車での飲酒運転で事故を起こしたりした公立学校の教職員を、車の運転と同様に処分することを決めた。都道府県教育委員会で自転車運転の処分基準が明文化されたのは、きわめて珍しいという。
飲酒運転で検挙、自転車では減給や停職
自転車でも飲酒運転をすれば懲戒免職、なんてこともありうる
同教育委員会は、愛媛県内の自動車事故のかなりの部分が、自転車が原因で発生している事態を重く見て、飲酒運転の処分規定を自転車にも適用した。同委員会教育総務課はJ-CASTニュースの取材に対して、
「自転車での事故がたくさん発生していると言われていることから、範を示すということになった。すぐこうした事故が起こるということよりも、万が一の場合を想定しての注意喚起の意味が強い」
と答えた。ただ、自転車での飲酒運転は車での飲酒運転に比べて危険性や事故で与える損害の規模が小さいとされるために、処分もそれに準じて「一段ほど」軽いものにはなるとはいう。飲酒運転で検挙された場合、車では停職以上の処分が下されるが、自転車では減給や停職などの処分が下される、ということになっている。
三重県の場合、検挙は原則免職
三重県の場合はさらに厳しい。同県は、行政職員が自転車での飲酒運転で検挙された場合は原則免職になるという基準を06年9月26日に定め、10月から適用している。同県は、
「議論はいろいろあったが、飲酒運転を撲滅するという目標を徹底するために(この基準を)定めた」
としている。同県は、道路交通法に基づいて、車だけでなく自転車にも遵守する必要性があるとして、この基準を定めた。自転車への処罰基準が明文化されること自体も珍しいが、さらに酒気帯びでも即免職となるのはかなり厳しい基準である。しかし、同県の職員は今のところそうは受け止めていないらしい。同県の広報担当者は次のように語る。
「厳しすぎるという声もないことはないですが、職員のなかでは当然だという意見がほとんどですよ」