オシムジャパンが試合をするたび、スポーツマスコミが判を押したように書くのが「決定力不足」の5文字。「その言葉はもう飽きた」「他に書くことは無いのか」という意見がネット上では飛び交うものの、選手の話題も見つけられず、スポーツ紙はオシムの発言に紙面を割いている。2006年10月11日付けの紙面は「オシム監督にインド人びっくり」と、試合とは関係がない記事がスポーツ紙各紙を飾った。
スポーツ各紙は、このところ「オシム頼み」なのだ。インド戦当日を見ると、スポーツニッポンは「オシム監督にインド人びっくり」という4段見出しを立てた。中日スポーツは「オシム語録」を掲載。日刊スポーツはオシム監督が「インド人記者に完勝」、スポーツ報知は「語録がさく裂 オシム監督」、サンケイスポーツは「オシム節」を掲載した。
いずれも書かれているのは選手の情報ではなく、オシム監督とインド人記者とのやり取りだ。サンケイスポーツが一番詳しく書いているが、これが笑える。
腹立てたインド人記者、会見場の電気を消す?
スポーツ紙も「オシムの言葉」頼り
オシム監督の記者会見で、腹を立てたインド人記者が、会見場の電気を消して途中退散した一件だ。(文中の『』はオシム監督の答え)
「――フォーメーションは決まっているか?『どういう意味?』――(記者怒り気味)4-4-2とか3-5-2とかですよ。『日本は2つのコンビネーションを持っているが(中略)システムは重要ではない』。『インドに対して”何点失うつもりか”という質問がありますか?"何点取れるか"という質問には相手に敬意が無い。失礼だ。それにこちらがたくさん点を取るといえば、逆にインドの選手はヤル気を起こす(後略)』。(会見場が一瞬停電)。『先ほどのインドの記者が怒って消したのでしょう(中略)。私の国の政治システムは崩壊している。ファシストよりはいいが・・・つまりシステムはあったほうがいい場合とない方がいい場合がある』」
スポーツニッポンは同じようにこの会見について書いた。「地元メディアは答えにならない答えに同じ質問を繰り返した。最後には怒り出して途中退散。むろん、オシム監督に動じた様子などなく『日本の皆さんもそうでしたよ』と笑った」。スポーツ報知は「インド人記者は『ありがとう。もういいよ、問題ないよ』と指揮官の語りに飽き飽きした様子。『問題ない?じゃぁ何が問題だったんだ』とインド人にも”オシム節”をさく裂」。
負けてもオシム批判は少ない
どうでもいいといえばどうでもいいことが、インド戦を直前にした紙面で、こんなことが話題として掲載しているのも、ネタがないこと、と、やはりオシム人気なのだろう。
日本のサッカーの敗因といえば、必ず「決定力不足」。スポーツマスコミもオシム頼りで「決定力不足」だ。
Yahoo!投票で、06年10月4日に行われたオシムジャパンのガーナ戦について、「10点満点で何点?」のアンケートを実施したが、0-1で負けたにもかかわらず平均点が4.2点(計36,839票)で、5点以上が55%あった。
試合に関するコメントは06年10月11日時点で900件以上書かれている。オシム批判はそれほどなく、「オシムは日本の先のことも視野に入れて指導してくれているように思える」「オシム監督はがんばったと思う」「オシムのサッカーが見えないというより、オシムのサッカーが演じられないプレーヤーに問題あり」「現状、オシム・クラスの監督が日本に来てくれることはあり得ない」と応援、評価するカキコミが非常に多い。国際試合の勝率60%の3勝2敗にかかわらずである。