NHK未払い訴訟 費用かさみ「倒産」説

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   NHKは、受信料を払わない世帯・事業所に対し、法的措置での強制徴収を始めると2006年10月5日に発表した。手始めに都内の48件に対し06年11月から簡易裁判所による督促を行い、従わない場合は給与差し押さえや民事訴訟も行う。さらに未契約者への訴訟の準備も始めるという。ただ、督促を出すだけで、一件2,000円~2,500円。さらに未納者に異議申し立てをされた場合、その経費は膨大になる。「NHKは自らの首を絞めていく」といった「NHK倒産説」も出始めた。

   NHKの橋本元一会長は、民事手続きによる支払い督促について06年10月5日の会見で、「(督促をしてまで払わせるのは)公平負担を徹底して受信料制度を守るために現行制度の中で出来ることをするのが、NHKの役割だと考えており、強い意志を持って取り組む」と述べた。さらに今後、未払い件数が減ったとしても、「対象は広げていきたい」と強気の姿勢を見せた。

Yahoo!投票で「督促」に92%が「反対」

多額の徴収費用で「倒産」!?
多額の徴収費用で「倒産」!?

   こうした方針を受けて2ちゃんねるmixiなどの掲示板には様々な意見がカキコまれた。「費者金融の取立てとたいしてかわりませんね。これが国のやってることなんだから、、、」「N・・・憎きことを H・・・ホンマにやる K・・・局ですね」などの批判が殺到。Yahoo!投票では06年10月6日午後6時の時点で「NHK受信料の簡裁を通じた督促、どう思う?」に対し、なんと92%が「反対」だった(総投票数38,252票)。
中にはこんなカキコミも現れる。

「支払督促が来たら『異議申し立て』をすること。万一、全面敗訴しても受信料を払うだけ。異議申し立てをされるとNHKは非常に困ったことになる。NHK受信料の支払いを拒否している人は、全国で130万人近くもいるというが、この内1割が異議申し立てをしても、NHKは全国各地の裁判所に職員を出張させて裁判闘争をしないといけなくなる。しかも裁判は1回で終わらない。異議申し立てが増えれば増えるほど、NHKは自らの首を絞めていくことになるのだ」

   橋本会長が語ったように全国民に支払いを徹底させるには、契約していて不払いの約361万件と、未契約の約1,000万件がターゲットになる。督促を出すだけで一件2,000円~2,500円もかかり、さらに給与を差し押さえするにしても申請で3,000円、さらに訴訟で弁護士費用などを加えるととてつもない額になる。

「費用対効果の考えはありません」とNHK広報

   「督促倒産」も噂される費用対効果について、NHK広報はJ-CASTニュースの取材に、「公平負担を徹底してほしい、という声に答える施策ですから、費用対効果の考えはありません。それに、一気に何万、何十万人を対象に督促を出す事はないですから」と話した。しかし、「異議申し立てが相次いだら裁判費用が大変ですよね」と質問すると、

「確かに、民事訴訟で外部の弁護士を使ったら発生するカネの大きさは…まぁ、全部がそうなるわけじゃあないですから」

と答えた。
   NHK問題に詳しい小坂祥司弁護士は、NHK受信料不払い者への法的措置について、

「そもそも放送法では、何が何でも受信料を払わなければならないのではなく、質の良い放送を提供する義務を果たしていることを認めて払うもの。NHKは今回の発表に便乗して、(良質な放送ではないと判断している)未払い者全員から徴収しようという姿勢ならば、おかしな話だ」

としたうえで、

「未払い者全員の強制徴収は費用的にも無理でしょう。未契約者が契約を結ばない場合は、結ばせるための裁判をして勝ち、払わない場合は督促を出し、その後にまた民事訴訟になるため、費用と時間が膨大にかかる。おそらくNHKの狙いは(今回の東京での督促などで)一定の成果を出し、それを心理的な波及効果にして徴収率を上げようとしているのでしょう」

とJ-CASTニュースの取材に答えた。
   NHKが受信料徴収に法的措置を取ると発表した翌日の06年10月6日、NHKの富山放送局長(54)が、06年5月に富山市内のホームセンターで文房具など5,000円相当を万引していたことがわかった。

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