視聴率で「あのテレ東に9連敗」した巨人戦中継。そのテレ東の社長が「放送時の順位によって放送権料の額を増減させる制度」の構想を打ち出した。導入されれば、低迷巨人も発奮するかも?
1位なら1億円、5位なら5,000万円
テレ東社長、「負けたら放映権料減額」を提案?
 この衝撃発言が飛び出したのは、2006年9月28日の、テレビ東京・菅谷定彦社長の定例会見だ。「試案」とした上で、「例えば(ペナントレースの順位が)1位なら1億円、5位なら5,000万円にするとか、放送権料には交渉の余地がある」などと話し、「負ければ放映権料減額」という仕組みに持って行きたい意向だ。背景には、こんな事情がある。J-CASTニュースでも既報のとおり、菅谷社長は以前に
「視聴率15%が取れると考え放送権料1試合1億円で購入した。制作費に1,300万円かかった。これに対しCM料は5,000万円だった」
と語っている。赤字にならないためにはCM収入が1億1,300万円以上必要で、そのためには視聴率15%が必須だ。それに対して、この試合の視聴率は5.5%。赤字額は実に7,000万円近い。テレ東が今季中継した巨人戦は6試合で、平均視聴率は8.3%だった。15%には遠く及ばず、シーズン全体としては、巨人戦のために数億円の赤字を出した計算だ。
 ビデオリサーチが06年10月2日に発表したところによると、巨人戦の今季開幕平均世帯視聴率(関東地区)は9.6%で、初の1ケタを記録した。8月にはフジテレビが地上波中継を中止し、日本テレビの久保慎太郎社長でさえ、9月25日の会見で「(中継のあり方を)今季終了後に分析する」と、中継の大幅縮小を示唆している。
 この「巨人戦中継縮小ブーム」、巨人の球団経営にも、無視できない影響を与えそうだ。「アエラ」編集部の推計だと、03年の巨人軍の収入約214億円のうち、放映権料が占めるのは70億円。大きな屋台骨であることには間違いない。
巨人戦縮小の影響は、ローカル局にも飛び火
 実は、巨人戦縮小の影響は、巨人戦を中継しないローカル局にも飛び火している。
 仙台の放送局が楽天戦を放送するために使っている方法のひとつが、キー局からネットされる巨人戦を放送せずに宮城県ローカルで楽天戦を放送する「差し替え放送」だ。巨人戦の全国ネット枠が縮小されると、全国ネットの野球中継以外の番組を楽天戦に差し替えるのが難しく、ナイターの時間帯に楽天戦を流せなくなるのだという。これは、通常番組と野球中継では視聴者層が異なり、スポンサーが番組の差し替えを許さないためだ。
 東北地方のブロック紙「河北新報」が06年10月5日にこう報じている。
 9月28日の会見では、テレ東の菅谷社長は「(順位が放映権料に直結する制度を導入すれば)ジャイアンツも発奮するのでは」とも発言している。巨人の経営陣や、巨人戦以外の野球中継を待ち望んでいる地方の野球ファンのためにも、原監督は順位を上げるしかない!