「大停電」防止 コストと安定供給を考える

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   2006年8月14日に発生した首都圏の大停電。停電したのは約139.1万軒にのぼり、大きな影響を与えたが、大部分は1時間あまりで復旧し、「大災害」にまでは至らなかったのも事実だ。大停電をなくすのは可能なのか。それに必要なことは何か。安定供給とコストの関係を東京電力に聞いてみた。

   電気は発電所で発電され、変電所で電圧を調整しながら、各家庭や事業所に届けられる。J-CASTニュースでは、今回の大停電の原因にもなった「電気の通り道(送電線)」の段階での取り組みについて取材した。

一つのルートが駄目になっても、他のルートから電気を供給

送電線を新設するには、多額の費用が必要だ
送電線を新設するには、多額の費用が必要だ

   送電線は、大きくふたつの思想に基づいて作られているという。ひとつは、「『n-1』では止まらないようにする」ということだ。送電線は通常2回線*で電気を送っていて仮に片方が使用出来なくなっても、残ったもう1回線で電気を送り続けることにより、電気は止まることはない。つまり、「1回線が使えなくなること」が「n-1」だ。
送電線は電線3本1組で1回線としての機能を果たす。

   もうひとつが「n-2」、つまり「二つとも回線が使えなくなり、そのルート自体が使えなくなる」ことだ。今回の停電は、これにあたる。この場合は、「バックアップを動かして、早急な復旧を目指す」ことになる。具体的には、「一つのルートが駄目になっても、電気が流れる経路を切り替えて、短時間のうちに他のルートから電気を供給できるようにする」ということだ。このような考え方で設備形成をしてきたこともあり、過去10年間(1995年~2004年)における東京電力サービスエリア内の平均停電時間は5分であり、諸外国にくらべ、非常に短い(イギリス:76分、フランス54分、アメリカ87分)。しかしながらそのためにコストがかかってきたのも事実だ。

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