動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」向けに配信された「日本メガネ党」の「政見放送」の動画が話題になっている。選挙活動?と思いきや、これはメガネ店チェーン「メガネストアー」のプロモーション。YouTubeはテレビCMに比べて費用もかからず、誰でも動画が投稿できるサイトとして、世界中で注目を集める媒体だ。本物の政治に使われることはないのか。
「メガネを含めてこの国が好きです」「この国をメガネから変えていく」――”政見放送”でタレントのおぎやはぎさんがメガネでの日本改革を訴える。マニフェストでは、「メガネっ子保護特別法案」「メガネについての消費税0%」を公約するなどなんとも本格的(?)。
メガネストアが企画したYouTube向けのCMは、そのおもしろさも手伝ってネット上で大きな反響を呼んでいる。実際に、同社のHPにはこれまでの約3倍のアクセスが集まった。低コストで製作でき、しかもネット上での反響が大きい、これがYouTubeをつかったCMの大きな利点だ。
政見放送は無理だが、広義の「政治活動」は可能
YouTubeが日本の政治に本格参入する時代はあるか
では、実際に選挙活動がインターネット上で行われる可能性はあるかというと、どうもなさそうだ。総務省はJ-CASTニュースの取材に対し、
「公職選挙法で、インターネット使用した選挙活動は禁止されています。政治活動となれば、インターネットに対して規制はありませんが」
と答えた。ということは、政見放送などは無理だが、広義の”政治活動”となれば話は違ってきそうだ。しかも、総務省は、インターネットを利用した選挙活動を認めるか現在検討中だという。
実際に、米国ではYouTubeが大きな政治的力を発揮した事例もある。
2006年8月21日付産経新聞によると、06年8月の民主党のコネティカット州予備選で当時現職だったリーバーマン上院議員を破ったレイモント氏の支持団体は、リーバーマン氏のちょっとした失敗やおかしなしぐさなどを編集した動画をYouTubeに投稿し続けたという。YouTubeがレイモント氏の勝利にどれほど貢献したのかは定かではないが、後日リーバーマン氏が、YouTubeを活用したレイモント氏支持団体に苦言を呈したという。
日本の政界に、YouTubeに対する警戒感ない
現在でも、ブッシュ大統領がリーバーマン氏に接吻したシーンやおかしなしぐさを取り上げた動画を簡単に見つけることができる。米国の政治活動に、YouTubeは大きな影響力をもっているのは確かだ。
日本で、こんな事態が起こることはあるのか。
YouTubeは日本のネット社会に浸透、政治家でも安倍晋三首相、麻生太郎外相、などYouTubeで検索すると幾つかヒットする。そんな状況だから、リーバーマン氏と同様のケースが生じる可能性もないとは言えなそうだ。
実際に、「悪用」が起きたとき、政党は同サイトに削除要請するのだろうか。自由民主党はJ-CASTニュースの取材に対し、
「そういうことは想定していない」とだけ答えた。日本の政界には、YouTubeに対する警戒感はないようだ。