「失踪」でも2ちゃんねるが閉鎖しない事情
このようなことから、西村さんに対して「許しがたい」「どうしょうもない奴」などと怒る弁護士もいる。もちろん、西村さんが「失踪」して訴訟ができないケースもあるわけだから、途中であきらめる依頼人も数知れない。依頼された弁護士も「最大限努力しているが、非常につらい」と打ち明ける。
しかし、こうした状況下でも2ちゃんねるが閉鎖しない事情がある。ネットに詳しい牧野二郎弁護士は次のように述べる。
「表現の自由の関係で、サーバーを止める決定を裁判所がすると考えるのは難しい。決定が仮に出たとしても、実力行使で警察官や執行官がサーバーを止めるとは想像しがたい。しかも、2ちゃんねるのサーバーは海外にあるみたいですからね」
違法とされる書き込みが放置されても、西村さんが失踪しているために誰も何もできないというわけだ。さらに牧野さんは次のように言う。
「書く人の自由、表現の自由は保障されなければならないし、制限してはいけないとは思う。しかし、最低でもサーバーの管理者が管理責任を果たさなければならない。自分がサーバーを管理していることを届け出るといった法整備も必要かもしれません」
西村さんについては、広告費用などで多額の収入を得ている、という説もあるが、賠償金の支払いには応じていない。住民票のある東京新宿区の西村さん宅のポストには裁判の送達文書などが溢れているという。