ソニー製電池パックを搭載したノート型パソコンがまたしても「発火」した。中国レノボ製の「ThinkPad」が2006年9月16日、ロサンゼルス国際空港でオーバーヒートし、発煙して火花が散ったのだ。06年8月にデルとアップル社製PCで発火したが、ソニーは同25日に、この2社製以外のPCで使われているリチウムイオン電池セルには問題ないと発表していた。だが、今回のレノボも同じ電池だった。
06年9月26日の朝日新聞は「航空機に乗った客が、かばんに入れていたシンクパッドから煙が出ているのに気付き、機外に出た。けが人はなかった。電池パックが、米デルとアップルコンピュータが相次いで大規模なリコールに踏み切った製品と同じだったことも判明」と報じた。
レノボは「当社製品は大丈夫」としていたのだが…
レノボジャパン広報はJ-CASTニュースの取材に、
「本社から届いた報告は今のところこの一件だけだ。当社製品にはバッテリー制御装置が付いているため、これ以上事故が増えるかどうかはわからない」
と困惑気味に話した。ソニー広報は、
「現時点では (発火の原因を)調査中で、リコールになるかどうかはわからない」
としている。
「2社以外のPCの電池回収はなし」のはずだが
ソニー製電池パックの発火事故は06年8月にデル、アップルと相次いで発覚。デルが全世界でソニー製電池410万個の回収を発表したのに続き、アップルも180万個の回収を発表。ソニーはこのリコール費用などで200億円から300億円負担するとした。同じ電池は米ヒューレット・パッカード、富士通そしてソニー自身も使っている。ソニーは発火の原因を「バッテリーに混入した金属粒子が電池内で別の部品と接触してショートした」と分析したが、「デルとアップルの機種に限ってはシステムの問題で、熱を発する場合がある」と説明していた。確かに電池に問題があるが、実際に発火するかどうかは使われているPCとの相性によるというわけだ。それを根拠に「これ以上の回収はない」としていたのだが、そのわずか一ヶ月ほど後に、別のメーカー製PCでも発火した。これらも同様の事故が起きるのではとの不安が高まる。
これについてアップル日本法人は、「エンジニアチームが徹底的に原因究明し、全ての原因はソニー製バッテリーにあると結論付けた」とJ-CASTニュースに話している(既報)。
発火ではないが、ソニー製電池の不具合が東芝ノートパソコン「ダイナブック」シリーズで充電や放電ができないものが見つかり、東芝は06年9月19日に全世界34万個(うち国内4万5,000個)の電池をリコールすると発表した。これについてソニー広報は、「第三者のメーカーから購入している絶縁紙に酸が含まれていたため」とJ-CASTニュースに話した。「事前にチェックできなかったのか?」と問うと、「(東芝から)不具合の連絡を受けて調査し、わかった」と答えた。
相次ぐトラブルは、ソニーの品質管理に弛みがあると見られても仕方がないし、事故や故障の責任は他社にもあるとするのは、「世界のソニー」らしからぬ言い訳と取られかねない。