「団信」の功罪は、十分検証されていない
このため、消費者金融側には事務経費が増えることは避けられず、「命が担保」との批判も収まらないことから、保険を打ち切るほうが、経営への影響が最小限に抑えられると判断した模様だ。
ただ、「命を担保」にした団信の功罪は、十分検証されているとはいえない。団信が打ち切られれば、原則的に遺族は消費者金融の高利の借金を相続することになる。弁護士などからは「相続放棄や、財産の範囲内で借金を認める限定相続がある」との声もあるが、借り手が自宅を競売にかけられる恐れもある。2,000万人とされる消費者金融の利用者が、どの程度の財産を持っているかなどの実態は不明だ。
借り手が知らないうちに加入し、厳しい取立てにつながっているとの指摘もあるが、債務を相続する遺族からの回収につながりかねず、新たな問題になる可能性もある。
厳しい取り立てで、死に追いやる誘因がなくなる利益と、遺族が新たな消費者金融の債務者になる不利益のどちらが勝るのか、誰にもはっきり分からないまま、団信の打ち切りの流れが加速しそうだ。