主要なネット関連株の下落が続いている。年初来最高値に対し7割も下がった例も珍しくない。2006年9月14日のミクシィ上場でも上昇のきっかけはつかめず、20日の株式市場ではさらに値を下げた。原因は、ネット利用者が頭打ちになり、企業が今後成長し続けていくのかどうか、懐疑的な見方が出てきたからだ。ネット株は大丈夫なのか?
主要ネット関連株の今年の最高値と06年9月22日の終値を比較すると、その下落の激しさがわかる。ヤフーは55.3%減で22日の終値が41,350円。楽天は同58.9%減の44,900円。ぐるなびが同67.9%減の169,000円。CCIが同73.8%減の182,000円。USENが同76.4%減の905円といった具合だ。
新興ネット企業の決算内容信用できるのか
「ヒルズ族」の株は大丈夫?
松井証券シニアアナリストの鈴木順子さんはJ-CASTニュースの取材に対し、ネット関連新興企業の株下落の原因は大きく2つあると話した。
一つはライブドアの粉飾決算から始まり、ネット関連銘柄に関わる監査法人の不正などが続き、「新興ネット企業の決算内容がいま一つ信用できない」となって、株投資が敬遠されがちになっている。二番目が、ネット企業がこれからも成長し続けていくのかどうか懐疑的な見方も出てきたことだ。
外資系証券会社もここにきて成長性に疑問を投げかけるレポートをいくつも出した。
モルガン・スタンレー証券は業界への投資を慎重にすべきとの見通しを出し、JPモルガン証券は同19日付けで楽天の目標株価を、これまでの5万4千円から3万5千円に下げた。また、同19日の米ヤフーの投資家向け説明会では、同社のネット広告売り上げが伸び悩んでいることを明らかにしている。
ネット利用者の頭打ちで先行き不安
日本のネット企業の先行きに不安が出ているのは、ネット利用者の頭打ちが近づいているからだ。ネットが行き渡り、利用者の伸びが鈍化する時期に来ている。さらに、「ウェブ2.0」が次に来るネットビジネスと期待される中で、その代表格ミクシィが上場。最高値は325,0000円で、一時的に2,560,000円まで下がった。
鈴木さんは、「ウェブ2.0という言葉が先行していますが、ミクシィはこれから広告で稼ぐのか、何で稼ぐのか投資家にうまく伝わっていない」という。そして、この「ウェブ2.0」の登場が、従来のネット企業に悪い影響を与えていると分析している。
「ヤフージャパンは業績が好調です。それなのに株価が落ちているのは、2.0が第二世代とすると、ヤフーは第一世代で、『古い』タイプの企業と思う投資家が増えているからではないでしょうか」
ネット関連株の「復活」はあるのか。鈴木さんは、企業の中間決算が出揃う06年10~11月まで大きな動きは出ないだろう、と予想する。そして「復活」のための「きっかけ」が不可欠だと指摘する。ポイントは今後の安倍政権の政策だそうだ。
「安倍さんがIT振興を産業政策として掲げれば、その時点から、風向きが変わってくると思います」