ブログなどでは「炎上」が相次いでいるが、自治体が設ける掲示板にも、それに近いことが起こりつつある。掲示板を運営する側は「出来るだけ自由に、気持ちよく使ってもらいたい」というが、「自由」と「気持ちよく」を両立させるのは、簡単なことではないようだ。
東北地方のブロック紙、河北新報は2006年9月17日、「役所"口撃"が占拠 山形市HP」という見出しの記事を掲載した。山形市の公式ウェブサイトに設けられた掲示板「ワイワイにぎやか交流広場」に、市長や職員を批判する乱暴な書き込みが増えている、という内容だ。
管理者が削除した記事は、わずか数件
山形市役所の掲示板。少なくとも「炎上」はしていない
見出しからすると、これまでにもJ-CASTニュースで報じてきたような、ブログに何千もの
たしかに、記事で報じられているような「税金の無駄遣いだ」「市長は独裁者」といった批判の声も多い。しかし、8月に行われた書き込み全体は約180件にとどまっており、個人情報を含んだり、差別的な言葉を使うなど「不適当」として、管理者が削除した記事は、わずか数件だ。記事掲載後には、逆に、乱暴な書き込みをいさめる書き込みが相次いでいる。
「モラルのない人はほんの一部で、あとはほとんどの人はまじめに意見交換していると思います。 私が投稿した時も、沢山の人から投稿いただきました。 同じ考えの人がいると心強いものです。 たとえ反対意見でも、まじめな投稿だったらいいと思います」
「行政批判、役人批判しかできないのは、民度の低さを表しているのでは?何でも役所任せで、自分たちは何もしない、そんな人が多いのでは?」
「実名制」を導入する自治体もある
こんな状況に対して、掲示板を運営する山形市広報課では、J-CASTニュースに対して、
「たしかに、現状の運営のやり方に問題と限界を感じています。色々な人が自由に、気持ちよく利用できる、という目的で、現状は匿名で書き込みができるようにしてあるのですが…。他の地方では、実名制を導入しているところがあるのは知っていますが、すぐに(実名制に)移行、というのは考えていません」
と、胸のうちを明かす。
05年4月にはいわゆる「自作自演」を防ぐなどの目的で、IPアドレスの一部が表示されるようにするなどの対策を講じてはいるものの、「自由に」と「気持ちよく」を両立させるのは、相当な工夫が要求されそうだ。