山口県周南市の徳山工業高専の女子学生が殺害された事件で、指名手配された未成年の男子学生 (19)の報道を巡ってマスコミが揺れている。実名・顔写真報道をすべきかで、新聞、テレビなど大手マスコミは、判断が分かれたが、インターネット上では「(実名・顔写真報道に)問題は無い」とする見方が大勢だ。
『Yahoo!投票』では、2006年9月8日から「徳山高専女子学生殺害事件で一部報道機関が少年を実名報道しましたが、この判断をどう思いますか?」というアンケートを行った。同11日18時までに 計43,954件の回答があり、「問題ない」が76%と圧倒的だった。「問題だ」は18%。「少年の死亡後であれば問題ない」が5%。「わからない」が4%だった。
「実名報道やむなし」の意見が多い
ネット上での投票では「実名報道問題なし」が圧倒的
Q&A(質問と回答)サイトや掲示板などのカキコミを見ると、やはり「実名報道やむなし」の意見が多く目に付く。
「というかむしろ実名&写真付き公開指名手配にしてもらわないと安心して生活できません」
「最近あまりに凶悪な少年犯罪が起きるので少年法は要らないような気がしてる」
「被害者だけ実名報道と顔写真か。理不尽...殺人犯に人権も糞もないだろう。法相は少年にも家族がありって言っていたが被害者にも家族はある」
「そもそも『少年法』なんかに捕らわれず、犯人の顔と実名を公表していれば、犯人が自殺する前に取り押さえられたかもしれない」
もっとも、実名報道への批判も散見される。
「マスメディアは死んだ人間ならどのようなこともしていいという倫理にかけた思考があります。実際には彼が本当に犯人なのか。これすらわかっていない状況です」
「週1回しか出さない速報性のない週刊誌が実名報道してなんの役に立つのか」
「被害者の情報が公開されすぎていることについては、問題に思わないのでしょうか?被害者の人権は、あまり省みられていないと感じます」
同じ朝日新聞でも媒体によって判断が分かれる
大手マスコミは対応が分かれた。実名・顔写真の報道に踏み切ったのは読売新聞、日本テレビ、テレビ朝日、週刊新潮。朝日新聞は匿名だったが、週刊朝日は06年9月12日発売号で実名・顔写真を掲載するなど、同じ会社でも媒体によって判断が分かれた。
実名・顔写真を出した読売新聞の東京本社広報部は、J-CASTニュースの取材に対し、
「容疑者が死亡し、少年の更生を図る見地で氏名などの記事掲載を禁じている少年の法の規定の対象外となったと判断したことに加え、事件の凶悪さや19歳という年齢などを考慮し、実名報道としました」
との回答を寄せた。あくまで少年法の理念を尊重し慎重に判断した結果だと付け加えている。
週刊新潮は自殺が発見される前に報じたが、同誌は「逃亡して指名手配されているのに、実名も顔写真も公開されていないことはどう考えてもおかしい。公表は犯人の自殺・再犯の抑止にもつながる」とコメントしている。
匿名報道を維持した毎日新聞は、J-CASTニュースの取材に対して、社長室広報担当が東京本社編集局のコメントとして「少年法の理念を尊重し、事件発生以来、容疑者の少年を匿名で報じてきましたところ、少年の死亡が確認されました。新たに重大な罪を犯すなど社会的利益を損なう危険性もなく、匿名報道を続けています」と答えた。