マツダがオープン2シーターの「マツダロードスター」を団塊世代に売り込もうとしている。ロードスターの販売は欧州や北米が中心で、御膝元の日本ではオープンカーはニッチ市場。しかも2シーターの需要は少ない。だが団塊世代の夫婦ならば、2人乗りの贅沢を受け入れるはずだと考えた。8月に追加した電動折り畳みハードトップ車を軸に、団塊世代のユーザー拡大を狙っている。
1989年5月に米国で販売を開始したロードスターは、世界での販売が計画を上回る状況を続け、世界生産累計台数は年内にも80万台に達する見通しだ。年間平均5万台程度の生産台数だが、欧米ではMG以来のヒット車として認知され、マツダブランドのイメージを高める役割を果たしている。
購入者で一番多いのは50代以上
団塊世代に「ロードスター」を売り込むチャンス?
ところが日本ではオープンカーの需要は少ない。憧れを抱くユーザーがいても、布製の幌がユーザーを遠ざけてきた。梅雨の時期や降雪、車上荒らしなどを考えると、購入には踏み切れない。しかも2シーターでは乗車人数も荷物スペースも少なすぎると思ってしまう。独身か懐に余裕の有る男性の趣味車と認識され、購入層が限られていたのだ。
その日本でもオープン2シーターが売れる土壌が整いつつある。実際に初代ロードスターのユーザーは若者が中心だったが、現在販売している3代目は様々な年代層が購入。購入者は20代以下が18%、30代30%、40代が20%、50代以上が32%という結果が出ている。
50代以上の比率の高さが大きなポイント。子育てのために乗っていたミニバンを手放し、夫婦2人で乗るファーストカーとしてロードスターを購入するケースも出てきた。とくに1947年から49年に生まれた団塊世代は、定年後の新たなライフステージを思い描く中で、昔憧れたオープンカーやスポーツカー、SUVなどに興味を示している。