安倍周辺に経済戦略に関する有力アドバイザーが見当たらない
一方、NTT改革では「(持ち株会社廃止やグループ間の資本分離など)組織問題は2010年に検討を行い、速やかに結論を得る」と6月の政府・与党の合意を尊重する姿勢を示したものの、組織問題を検討する前提となる市場の競走状況は「毎年、評価・レビューする」と強調。NTT解体に改めて意欲を示す内容になった。
通常、任期切れを間近にした大臣は次期政権の後継大臣に遠慮して、新たな政策や具体的な政策スケジュールを打ち出すことはためらうもの。竹中氏が退任まで1カ月を切ったこの時期に次々と研究会を立ち上げていることをどうみるべきか。竹中氏の去就についてはこれまでポスト小泉政権では閣外に去り、「政治的な影響力もフェードアウトする」「議員も辞めて、米大学教授に転身するのでは」(政府筋)などとする見方が大勢だった。しかし、最近で安倍官房長官周辺に経済戦略に関する有力アドバイザーが見当たらないことから「引き続き竹中氏が重用される可能性が出てきた」(自民党筋)との観測が急浮上。閣内に止まらなくても、首相補佐官などの立場で経済政策への影響力を保持するとの見方も出ている。